気候変動へのより強力な取り組みが求められるエコ・ファースト企業

買い物を通し、お客様の持続可能なライフスタイルをサポート
楽天グループ株式会社

 日本におけるEコマースのパイオニア企業として知られる楽天グループ株式会社。その先駆的な事業の一つである「楽天市場」では、持続可能性に関する国際認証を取得した商品を中心に取り揃えた「楽天市場」内のインターネットショッピング・モール&オンラインメディア「EARTH MALL with Rakuten」などを通じ、持続可能なライフスタイルをサポートする買い物の機会を消費者に発信している。
さらに農業サービス「楽天ファーム」では、自然環境への負荷を低減したサステナブルオーガニック農業の普及に取り組み、その活動を通じて地域循環共生圏づくりや環境保全を推進。楽天グループサービスの「楽天エナジー」では、法人向けエネルギーサービス「楽天でんきBusiness」の契約者に実質的に再生可能エネルギー由来の電力共有プランを提供するなど、CO2排出削減につながる取り組みも行っている。
ここでは「EARTH MALL with Rakuten」と「楽天ファーム」に絞って話を聞いた。

エコ・ファーストの約束PDFを表示


●オンラインインタビューに登場いただいた方
インキュベーション事業 農業事業部 横澤 友紀氏
コーポレートカルチャーディビジョン サステナビリティ部 マネージャー 上野 友加 氏

8つの国際認証取得の商品のみを集めたECサイト

――昨年エコ・ファースト企業に認定されたことで社内の反響はどのようなものがあったでしょうか。
上野:楽天グループは2019年の12月にRE100にも加盟し、環境に対するコミットメントについては様々発表してまいりましたがエコ・ファーストの認定を受けることで従業員も含めた、より多くのステークホルダーの皆様に楽天の環境に対する取り組みを知っていただく機会になったのではないかと思います。またエコ・ファーストのマークは弊社のコーポレートサイトにも掲載させていただいております。

――エコ・ファーストの約束にも紹介されていた「EARTH MALL with Rakuten」が生まれた背景を教えてください
上野:「EARTH MALL」自体はもともと楽天のオリジナルではなく、「OPEN 2030 PROJECT」というSDGsに関する企業変革とイノベーションをつくることを目的とした有識者の方のプラットフォームだったのですが、弊社もこの考えに共感し、サステナブルな商品を扱うECサイトを立ち上げました。それが「EARTH MALL with Rakuten」です。このサイトでは「楽天市場」の中ですでに出品をされているものの中から環境・社会・経済の持続的な成長を考えて作られた商品であることを証明する8つの認証を取得している商品や、それ以外にも多角的な視点でサステナブルな商品を中心にご紹介しています。ちなみにこのHPでは「MSC認証」(通称海のエコラベル)から「FSC森林認証」、「国際フェアトレード認証」や「有機JAS認証」など8つの国際認証が説明され、認証ラベルのついた商品を選ぶ理由などについてもわかりやすく解説し、持続可能な買い物を推進しています。
「EARTH MALL with Rakuten」は、2018年よりスタートしていますが商品数も年々に増え、お客様を中心に良い反響をいただき、認証ラベルへの理解の輪を広げています。

有機JAS認証の国産オーガニック野菜を食卓まで届ける

――エコ・ファーストの約束では「楽天ファーム」についても多く述べられています。
楽天ファームの魅力は「国内自社農場で生産する農薬・化学肥料に頼らない有機JAS認証の国産オーガニック野菜を食卓まで届ける」ところにあると思いますが、この事業を持続する上で苦労されている点や大切にされている点について教えてください。
横澤:弊社だけではありませんが、農業に関しては毎年の気候変動に対応することに大変苦労しています。たとえば雨が長く続くと品質に影響します。また、有機栽培では化学合成された農薬や化学肥料を使わないので、除草作業や虫よけなど栽培管理も手間がかかり、野菜を安定的かつ継続的に収穫していくことへのコストも課題となっています。
もう1つ解決しないといけないのは売り先の確保です。有機JASは安心・安全というイメージで需要としては上がってきていますが、まだまだオーガニック食品はもちろん、有機JAS認証のマークへの認知が低いことを実感しています。これからこの点については消費者の方々への理解促進などの強化が必要だと感じています。

農業で生物多様性を守る「楽天ファーム」

横澤:「楽天ファーム」で大切にしているのは、まずは品質。「非常に美味しい」というお声をお客様から数多く頂いているのでその品質を落とさないように農法の改善に努めています。
また、私たちからお客様への発信を積極的に行っています。「農むすび」という自社メディアでオーガニックの良さや野菜の魅力を積極的に発信し、農家のスタッフの話題なども掲載しています。また農地スタッフへもどういったお客様が商品を食べ、どのような感想を持っているかなどもフィードバックし、作り手と食べる側の分断を解決できるよう、双方の情報の橋渡しも行うことにも注力しています。
その中で野菜を育てる際に環境への配慮も重視しています。農薬や化学肥料、そして除草剤を使わないのは土を大切にしていくという目的もあります。野菜は、土の中で生息する微生物に育ててもらっています。そして、そういった土壌の微生物は様々な生物と連鎖しています。その意味で有機農法は生物多様性と深くつながっていると言えるでしょう。だからこそ、周辺の環境にも配慮しながら、日々の農業に取り組んでいます。
また、化学合成した肥料や農薬は製造するときに化石燃料を使いますが、それを用いない有機農業は脱炭素社会を目指す今、あらためて注目されています。もちろん農薬を使いませんので害虫もいますが、元気な野菜であればそれらの虫に食べられません。そのために野菜の生命力をつけて、他の生き物と共生するということも大切にしています。そしてこれらのこだわりが凝縮した野菜の美味しさを味わっていただくことで、地球環境を持続していく大切さをお客様と共有していきたいと考えています。

インタビューページへのリンク

●佐藤工業株式会社

●株式会社島津製作所

●大東建託株式会社

●株式会社ネクシィーズグループ

●楽天株式会社