2022.11.29 掲載
7. アインシュタインとフロイトとの往復書簡の含意
いまから90年も前、1932年7月、ナチスが勢力を拡げつつあるドイツで、1人の物理学者が、1人の精神分析家に手紙を書いた。
手紙を書いたのは、当時すでに一般相対性理論を発表し、ノーベル物理学賞を受賞していたアインシュタインであった。受け取ったのは、同じくユダヤ人で、精神分析の大家フロイトであった※22。
その手紙で、アインシュタインは、「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?(Is there any way of delivering mankind from the menace of war?)」と、フロイトに問いかけた。そして「なぜ少数の人たちがおびただしい数の国民を動かし、彼らを自分たちの欲望の道具にすることができるのか? 戦争が起きれば一般の国民は苦しむだけなのに、なぜ彼らは少数の人間の欲望に手を貸すような真似をするのか?」と問いかけた。それに対して、フロイトは返答した。「法といっても、つきつめればむき出しの暴力にほかならず、法による支配を支えていこうとすれば、今日でも暴力が不可欠である。」と。
フロイトは、こう考えた。そもそも人間には「生への欲動」「死の欲動」の2種類があり、それは単純な「善」「悪」と決めることはできず、どちらもなくてはならないものだと。そして、この2つの欲動は単独で活動するものではなく、混ぜ合わされ、時にどちらかが満たされるにはどちらかが不可欠ですらある。それが人間の本質であると。
2人の往復書簡では、国家の指導的な地位にいる者たちが、尋常ならざる権力欲を有している点に触れて。こうも喝破している。「いつの時代でも、そしてそれを後押しするグループがいる。金銭的な利益を追求し、その活動を押し進めるために、権力にすり寄るグループだ。戦争の折に武器を売り、大きな利益を得ようとする人たちが、その典型的な例だ。彼らは、戦争を自分たちに都合のよいチャンスとしか見ない。個人的な利益を増大させ、自分の力を増大させる絶好機としか見ないのだ。社会的な配慮に欠け、どんなものを前にしても平然と自分の利益を追求しようとしている。」と。往復書簡の行間には、暴力で全てが決する動物の弱肉強食の世界から、人間社会の成熟した「法に基づく支配」に至る過程に触れ、また、「法に基づく支配」から「暴力に基づく支配」へ歴史を押し戻そうとする動きへの深い憂慮と同時に、真の「法に基づく支配」を確立遂行することが困難であることへの当惑が垣間見れる。この生々しい危機感と憂鬱は、ウクライナ危機が勃発した現代にも、そのまま当てはまるであろう。
「法に基づく支配」は、人類の平和的帰結の鍵である。そのためには、民主主義が前提となる。暴力の源泉である「権力」をけん制し合う法に基づく仕組み、そして立法府を選択する民主的な選挙があって初めて「法に基づく支配」が成熟する。「数世紀ものあいだ、国際平和を実現するために、数多くの人が真剣な努力を傾けてきた。しかし、その真撃な努力にもかかわらず、いまだに平和が訪れていない。とすれば、こう考えざるを得ない。人間の心自体に問題があるのだ。人間の心のなかに、平和への努力に抗う種々の力が働いているのだ。人間には本能的な欲求が潜んでいる。憎悪に駆られ、相手を絶滅させようとする欲求が!」とアインシュタインは悲観する。裁判というものは人間が創りあげたものゆえに、周囲のものからもろもろの影響や圧力を受けざるを得ない。何かの正当な決定を下したにしても、その決定を実際に押し通す力が備わっていなければ、法以外のものから大きな影響を受けてしまう。
国際的な機関が高く掲げる理想に世界中の諸国が共鳴し深い敬意を払い、しかも、その司法機関の判決に絶対的な権威があり、世界中の諸国に対して強いる権力を手にいれなければ、機能不全に陥る。司法機関というものは社会や共同体の名で判決を下しながら、正義を理想的な形で実現しようとしているが、その共同体に権力がなければ、その正義を実現できるはずがないのである。むろん、世界中の全ての国家が例外なく「法に基づく支配」に則り行動し、国内外地球上の全ての主体が自由、民主主義、法に基づく支配といったいわゆる普遍的価値観を尊重すれば、警察や軍隊はいらない。しかし、ウクライナ戦争を引き合いに出すまでもなく、我々が今目撃している現実はそのような世界からほど遠い。現下のロシアのような狂気に満ちた暴力的で独裁的な専制主義国家がある限り、それを制する機関は必要である。しかし、その肝心な国連安全保障理事会は、ロシアの拒否権発動の連発で機能停止に陥っている。
方や、こうした中、現下のウクライナ戦争の影響で、軍事費が世界中で急増することを懸念する識者は多い。そして「底辺への競争(Race to the bottom)」が加速し、軍事費増加のために、肝心の気候危機対策や、教育費やヘルスケア等、人々の人生や命・健康に肝心な予算が削られて行く※23。軍産複合体の一部利権集団には大歓迎であろうが、一般市民にとっては、百害あって一利なしである。
かような状況下、民主主義陣営とされる日本や欧米の多くの国にとって肝要なことは、一方的に正義論を振りかざして1国をつるし上げて一刀両断に断罪することで溜飲を下げることではなく、かつて自らが、忌まわしい帝国主義的な植民地政策を取ってきたという原罪を謙虚に認識することである。いまのロシアと同様に、かつて原住民から土地を問答無用に収奪してきた意味では同罪の忌まわしい歴史を持つという事実である。正義を振りかざしている自らが同じ穴の貉であった事実を、しっかり認識することである。こうした暴力に基づく恥ずかしい不名誉な黒歴史から目を逸らさず、正面から謙虚に向き合い、「民主主義」、「法に基づく支配」といった価値観を、一方的、独善的に権威主義的国家に押し付けるのではなく、我々の先人たちが苦難を乗り越えこうした価値観を普遍的と確信するに至った過程に思いをはせながら、人類の平和的帰結のデッサンを念頭に、粘り強く対話を継続していく必要がある。
それでは、はたして、人類の平和的帰結のデッサンを描くための究極的な解決方法はあるのだろうか。アインシュタインとフロイトの2人は「戦争を確実に防ごうと思えば、皆が一致協力して強大な(超国家的な)中央集権的な権力(国際機関)を作り上げ、何か利害の対立が起きたときにはこの権力に裁定を委ねるべきだ。それしか道がない。しかしこの道を進むには、二つの条件が満たされていなければならない。現実にそのような機関が創設されること、これが一つ。自らの裁定を押し通すのに必要な力を持つこと、これが二つ目。どちらか一方の条件が満たされるだけでは、戦争を根絶させるのは難しい。」と説く。そして、粗暴な暴力が克服されるには、世界中の諸国からの国際機関への権力移譲が必要であり、この国際機関を一つにつなぎとめるのは、参加国間に生まれる感情の絆、一体感であるとも付言している。
では、参加国間に生まれる感情の絆、一体感を生む鍵は、はたしてあるのか?さらに具体的に言えば、国連の安全保障理事会で拒否権を連発するロシアをはじめとする専制主義国家群を含めて、世界中のすべての諸国が異論なく賛成する鍵が、本当にあるのであろうか?それは、世界中のあまたの諸国のイデオロギーや利権を超越した「異論なく賛同できる共通項」でなければならないのだが、それは何なのか?
実は、その鍵は、確実かつ明白にある。それは、他ならぬ「気候危機」である。気候危機の前では、誰もが運命共同体であることに異論はない※24。誰もが中長期的な受益者となる「気候プラットフォーム(仮称)」を軸に、新たな国際組織を構築することが、ともすれば相互に対立し分裂しがちな世界中の諸国を束ねる希少な要となるであろう。この鍵は、90年前にアインシュタインとフロイトが相互に書簡を往来した時代にはなかった新たな鍵である。2人が、いま生きていたら、迷わず気候危機問題に真摯に取り組んでいたであろう。
実は、幸運なことに、すでに、その下地はすでにできている。気候変動枠組み条約を基盤とした「パリ協定」を始めとした粘り強い過去永年に及ぶ国際協調の実績がある。むろん、「パリ協定」には、ロシアも批准している※25。そして、現下のウクライナ危機が、「気候プラットフォーム」を加速させる、めったにないトリガーとなっている。なぜなら、ウクライナ危機を契機に、世界中の国々が、ロシアからの石油・天然ガスへの依存をやめ、脱化石燃料を梃子に、再生可能エネルギーを軸とした「脱炭素社会」へのパラダイムシフトを加速しているからである。しかも、戦争当事者たるロシアですら、世界有数の気候危機の被害当事者なのである。食料危機や永久凍土融解に伴う森林火災や感染症蔓延リスクの露呈等、多面的に、未来への不透明感に直面している当事者なのである。そして、主な外貨獲得手段が化石燃料依存であったロシアは、いずれ到来する「脱炭素社会」への対応準備が出遅れ気味でまったく不十分であり、再生可能エネルギーを軸としたエネルギーシフト後発国として、内心、大きな不安と焦燥に駆られている実態もある。広大なシベリアを含め、再生可能エネルギー潜在力が大きいロシアには、従来の化石燃料の後継者としての主力外貨獲得手段としても、再生可能エネルギーを軸とした「気候プラットフォーム」への参加は、合理的な選択肢でありうる。ロシアにとっても、「気候プラットフォーム」への参加は、失うものより得るものが多く、参加意義は、極めて大きいのである。それは、他のOPEC加入の産油諸国も同様である※26。いずれ早々に枯渇するであろう有限な石油等の化石燃料依存の一本足打法の脆弱な国家運営の限界は、当事者として重々承知しており、要は、いずれ到来する化石燃料依存の国家運営からの離陸のタイミングを計ってきた産油諸国にとって、自国にとって、明らかに経済合理性がある説得力をもった「気候プラットフォーム」のデッサンが見えてくれば、世界中の諸国家にとって異論はなく、参加は合理的な判断となろう。
したがって、人類の平和的帰結のデッサンを描くための究極的な解決方法の要は、ロシアを含め、世界中の国々に対して、明らかに経済合理性がある説得力をもった「気候プラットフォーム」のデッサンをいかに描く事ができるかである。
※22 ユネスコの前身たる、国際連盟の国際知的協力機関(International Committee on Intellectual Cooperation:ICIC)から「誰でも好きな方を選び、いまの文明でもっとも大切と思える問いについて意見を交換」してほしいと提案されたアインシュタインが、精神分析の大家フロイトに手紙を書いたもの。(出所)Albert Einstein, Sigmund Freud(1932)"Warum Krieg?" ”Why war? A letter from Albert Einstein to Sigmund Freud”、アルバート アインシュタイン, ジグムント フロイト(1932)『ひとはなぜ戦争をするのか』
※23 ユヴァル・ノア・ハラリ(Yuval Noah Harari)は、「プーチンは正気を失い、現実を否定している。この戦争すべての基本的原因は、プーチンが頭のなかで空想を作り上げたことにある。」と、現下のウクライナ戦争におけるロシアの無謀な侵攻を糾弾すると同時に、ウクライナ戦争のように暴力が国家間の紛争解決手段となることを許せば、軍拡競争、ひいては核開発競争に歯止めがかからなくなってしまう。このような事態は人類の繁栄、将来世代のためにも何としても避けたいとし、今後の世界各国の軍事費増加への波及効果と市民の命・健康に肝心な予算が削られて行くへの懸念を表明している。(出所)ユヴァル・ノア・ハラリ他(2022)『ウクライナ危機後の世界』
※24 2022年4月4日には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)の第3作業部会(気候変動の緩和)が第6次評価報告書が発表され、1.5度に抑える炭素予算はこのままの排出だと10年以内に使い切る点、急激で大規模な温室効果ガスの削減がなければ、1.5度は達成不可能になる点が強調され、気候危機への取り組みが不十分で緩慢である点が指摘された。このことは、もはや、この地球上で、同じ人類同士でウクライナ戦争のような不毛な争いをしている暇はないことを、全人類に衝撃をもって受け止められた。
※25 ロシア連邦政府は2019年9月23日、ニューヨークで開催された国連気候変動サミットに合わせ、パリ協定を批准したと発表した(2019年9月21日付連邦政府決定第1228号)。
※26 国際エネルギー機関(IEA)が2021年5月18日に発表した脱炭素実現への行程表を示したリポートがある。2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス(GHG)の排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」(炭素中立)を実現するためには、世界各地の「石油や天然ガスを採掘する新規開発投資を中止すべきだ」と呼びかけている。これに石油輸出国機構(Organization of the Petroleum Exporting Countries:OPEC)参加国の2大産油国のサウジアラビアとロシアの閣僚がかみついた経緯があった。いずれ「脱炭素時代」の到来は覚悟しているものの、稼げるだけ稼ぎたい産油国の本音が垣間見れる。
8. 再生可能エネルギーという福音
世界中の誰1人とて幸福にしないこの不毛な戦争を起こさないためには、どうしたらいいのか。その解は、諸国家が、お互いの自由を一部放棄し、戦争の原因である腕ずくで何かを獲得する権利を不可能にすることにある。しかも、誰1人抜け駆けできない仕組みが大前提となる。そのためには、ロシアを含め、世界中の国々に対して、明らかに経済合理性がある説得力をもった新しいパラダイムのデッサンが必要となる。この仕組みから抜け出したら大きな機会損失を被ることが自明であり、それを一方的な暴力で破壊することがもはや不可能なような仕組みが肝要である。
かつて、長い人類史の中で、永遠平和構築の画期的な成功例が過去にあった。それは70年前に構築された「欧州石炭鉄鋼共同体(European Coal and Steel Community ; ECSC)」である。1951年欧州6か国が「パリ条約」を締結し、ECSCは1952年7月22日に発足した。超国家的な最高機関が石炭・鉄鋼業を共同管理し、独占を規制した自由で公正な市場を作る構想により、両産業の育成策を通じて、ヨーロッパの平和と経済発展を実現することをめざした超国家的機関であった。その後の欧州連合誕生の原点となった人類史上稀有で画期的な国際機関である。石炭と鉄鋼は国家が戦争を起こすのに欠かせない資源であることに着目し、あえて敵同士であった両国の間でこれらの資源を共有するというきわめて画期的なアイデアで、長らく敵対してきたフランスとドイツとの間での平和を強固にする目的で創設された。まさに、仏独の産業資源を共有化することで「脱国家」が戦争を完全に不可能とする政治的なイノベーションであった。その後、ECSCは、欧州連合に発展進化するが、その後、今日まで、欧州連合参加国間で一度も戦争は起きていない。なぜなら、参加国が、お互いの自由を一部放棄し、戦争の原因である腕ずくで何かを獲得する権利を相互に不可能にしてきたからである。この欧州ECSCの「超国家性(supranationalism)」が、人類の平和的帰結の新たなパラダイム創生の議論に与えてくれる含意と示唆は、とりわけ、今日の混迷した世界にとって、極めて深く重要である。
かつて、リヒャルト・クーデンホーフ・カレルギー伯爵は、「国家は人間の為に存在するが、人間は国家の為に存在するのではない。国家は手段であって、目的ではない。」 と喝破したが、いままで、幾度となく起こった忌まわしい国際紛争は、例外なく「国家」の名前で起こってきた。そして、その犠牲者は、いつも丸腰な無辜の国民であった。むろん、現下の恒久的平和構築や気候危機問題解決のためのプラットフォームは、あまねく国家を前提に構築されおり、国家それ自体のraison d'êtreを否定し、それなりに有効に運営されてきた国家機能を無下に全面否定することは簡単ではないが、こと今回のウクライナ危機のごとく国際紛争や、気候危機における「パリ協定」の目標達成の困難性を眼前に突き付けられる事態に及んでは、国家の呪縛からの卒業という思い切った選択肢を念頭にした新しい社会契約のアップデートの再検討が急務と言わざるを得ない。
さて、かつてのECSCの平和構築装置の鍵は石炭と鉄鋼であったが、はたして、現代における平和構築装置の鍵となるような、諸国家にとって必要不可欠な資源はあるのだろうか?それは、何だろうか?
そのヒントは、気候危機である。なぜなら、気候危機は、人類にとって共通の喫緊の最重要課題であり、いま世界中が最優先で取り込んでいるであるからである。誰もが気候危機の深刻な被害者であり、気候危機解決の受益者でもある。その気候危機の前では、敵も味方もないのである。だからこそ、ロシアも「パリ協定」に批准しているわけである。ストックホルム国際平和研究所のフロリアン・クランプ氏(Dr Florian Krampe)は、「気候変動は、様々な地域で紛争や暴動の原因となり人間の安全保障の問題になっている」と指摘している。その気候危機問題の解決策である脱炭素の早期実現を果たせる装置を盛り込んだ新たなパラダイムを創生することが、気候危機の早期解決のみならず、同時に、不毛な戦争を抑止し恒久平和構築にも資する大きな効果が期待できると考える。周知の通り、脱炭素の早期実現を果たす駆動装置は、再生可能エネルギーである。すなわち、かつてのECSCにおける石炭と鉄鋼に相当する鍵が、今や、再生可能エネルギーなのである。再生可能エネルギーが、平和構築装置の鍵なのである。
2021年にIEAが公表した「IEAロードマップ(Net Zero by 2050)」では、2050年の世界の電源ミックスの88%が再生可能エネルギーになるとの予測が公開されている。気候危機の最大原因であると同時に国際政治リスクから不安定性が懸念される海外依存の化石燃料の代替として、安全で無料で純国産の再生可能エネルギー導入を最優先で加速すべきであることは、もはや自明である。
有史来、人類にとって必要不可欠な化石燃料は、便利ではあったが、不幸なことに、国家間紛争の動機となり、投機対象となり、多くの悲劇を生み出してきた。しかし、実は、その悲劇は、地域偏在する特性をもつ化石燃料の特性ゆえに起こったものであった。つまり、仮に、化石燃料に地域偏在がなく、世界中のいたるところで、どの国でも豊富に採取できたとしたら、産業革命以降の忌まわしい死屍累々の戦争の太宗はなかったはずであった。逆に言えば、化石燃料以外のエネルギーで、地域偏在がなく、世界中のいたるところでどの国でも豊富に採取できる別のエネルギーがあれば、これから発生するかもしれない多くの戦争の悲劇をあらかじめ回避できるのである。再生可能エネルギーは、水力、風力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーは、世界各地に平等に存在し、その種類は実に多様で、どの国であっても相当の規模で自国自給可能である。自然現象として再生産され、枯渇することがなく、限界費用がゼロだ。よって、そもそも利益目的の輸出入の対象にならず、価格高騰も供給不安も起きない上に、小規模分散型の特性上、災害時のレジリエンス面でも強く、地域経済循環にも寄与する。つまり、そもそも「地産地消型」で「自給自足型」の再生可能エネルギーは、温室効果ガス削減に大きな貢献するのみならず紛争のトリガーにならないというその特性から、エネルギー安全保障に大いに資することで、持続可能な世界平和構築に大きな貢献を果たすことができる。脱炭素の鍵は、まさに化石燃料から再生可能エネルギーに100%エネルギーシフトを早期実現することにある。未来の鍵が脱炭素にあると考える理由がここにある。よって、気候危機の主犯であると同時に、戦争の原因となってきた化石燃料からの早期卒業と再生可能エネルギー100%の脱炭素社会実現が急務なのである。