
企業の社会的責任やESG経営への関心が高まる中、民間企業単独の環境特化型財団としてパイオニア的な存在である「公益財団法人イオン環境財団」(理事長:岡田元也)が、同財団は2026年6月1日(月)より、総額1億円規模となる「第36回イオン環境活動助成」の公募を開始することを発表した。
今回の公募テーマは「里山(里地・里川・里湖・里海)の保全と利活用」。各地の里山が抱える深刻な課題に対し、現場で草の根の活動を続ける非営利団体を力強くバックアップする構えだ。
本記事では、35年以上にわたり日本の環境CSRを牽引してきた同財団の歩みを振り返るとともに、今回公募される助成金の概要や、単なる資金援助にとどまらない同財団の「伴走型」の支援・連携スタイルについて、編集部独自の視点で解説する。

35年で3600超の団体へ、総額32億円以上の支援実績
イオン環境財団は、1990年にイオン株式会社の名誉会長相談役である岡田卓也氏(現・同財団名誉理事長)によって設立された。「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」というイオンの基本理念がその根底にある。
設立以来、同財団は「植樹」「助成」「環境教育・共同研究」「顕彰」という4つのコア事業を展開。なかでも今回公募が始まる「環境活動助成」は、世界各地で地域ボランティアとともに環境保全に汗を流す非営利団体を対象に、毎年総額1億円の規模で継続されてきた。
過去35年間における助成実績は、累計3,657団体、総額32億9,235万円にのぼる。この圧倒的な数字は、同財団が日本の環境ボランティアや市民活動の基盤をいかに支え続けてきたかを示す、確かな証左と言える。
今年のテーマは「里山の保全と利活用」――人と自然が共生する未来へ
今回の第36回公募では、持続可能な地域の実現に向けて「里山の保全と利活用」に焦点が当てられている。現代の里山は、過疎化や高齢化、ライフスタイルの変化に伴い、手入れ不足や担い手不足といった深刻な課題に直面している。
財団は、これら各地の課題解決に取り組み、「人と自然が共生する地域づくりを通じて豊かな自然を次代に繋ぐ」活動を行う団体を幅広く募集している。具体的な活動分野は以下の5つに分類されており、多角的なアプローチが評価される仕組みとなっている。
具体的な活動分野は以下の5つに分類されており、多角的なアプローチが評価される仕組みとなっている。
1)里山の再生(植樹を含む)
2)里山の伝承
3)被災地の里山復興
4)環境教育
5)野生動植物・絶滅危惧種の保全
応募期間は2026年6月1日(月)から7月20日(月・祝)までで、オンラインによる申請を受け付けている。採択された場合の活動対象期間は、2027年4月1日から2028年3月31日までの1年間となる。

資金提供に留まらない、イオン環境財団の「プラットフォーム機能」
多くの助成金制度が「資金を交付して終わり」になりがちな中、イオン環境財団の活動で特筆すべきは、助成先団体同士、あるいは財団と団体との「横のつながり」を重視したネットワーク構築と伴走型支援にある。
① 課題と成功事例を共有する「関係性づくり」
現在、多くの保全活動地で共通の悩みとなっているのが「担い手不足」である。同財団では、各団体が孤立することなく、情報共有や交流を通じて関係を深められる場を提供している。各地の成功事例や直面している課題をリアルタイムに共有し合うことで、単一の団体では思いつかなかった新たな連携や、画期的な取り組みが生まれるサイクルを創り出している。
② 暮らしや行動を変える「里山体験エコツアー」の実施
その具体的な連携事例のひとつが、助成団体の活動拠点をフィールドとして開催される「里山体験エコツアー」である。 直近では2026年3月15日に、群馬県利根郡みなかみ町にて「特定非営利活動法人里山環境さなざわ」の協力のもとツアーが実施された。
参加者は、実際に「薪割り体験」を行ったり、「クロサンショウウオの卵の調査」といった生物多様性に触れる活動を行ったりしたほか、「里山防砂についてのレクチャー」を受講。現代の里山が直面するリアルな課題やその価値を肌で感じることで、参加者一人ひとりが自身のライフスタイルや今後の行動を見つめ直す大きなきっかけを提供している。
③ アカデミアと連携した「イオンSATOYAMAフォーラム」
さらに同財団は、市民活動のサポートだけでなく、学術的な知見の集積と発信にも注力している。複数の大学と連携して開催されている「イオンSATOYAMAフォーラム」では、共同研究から得られたエビデンスをもとに、里山の新たな可能性を社会に広く提示している。
これまで開催されたフォーラムのテーマ変遷を見ても、その視座の高さが伺える。
第1回(2023年):「ネイチャーポジティブ(自然再興)とウェルビーイング」という、国際的なトレンドと個人の幸福を掛け合わせた価値創造を議論。
第2回(2025年):「みんなで考えつくる 新しいSATOYAMA」をテーマに、多様な主体による里山づくりのあり方を模索。
第3回(2026年2月):「里山・地域コミュニティがもつレジリエンス(回復力・強靭性)」に焦点を当て、気候変動や災害リスクに対する里山の防災・減災機能を再評価。
このように、現場での泥臭い保全活動(グラスルーツ)と、大学などとの学術的アプローチ(アカデミア)の双方をシームレスに結びつけている点こそが、同財団の活動が極めて高い評価を得ている理由と言える。
応募を検討する団体へ:オンライン公募説明会を開催
イオン環境財団は、今回の公募開始に合わせて、6月中に計4日間の「オンライン公募説明会」を開催する。説明会では、応募方法の丁寧なレクチャーが行われるだけでなく、現在実際に助成を受けている団体が登壇し、自らの環境活動についてリアルな発表を行うプログラムも予定されている。申請を検討している非営利団体にとっては、活動のヒントを得る絶好の機会となる。
【公募説明会 開催日程】(いずれもオンライン開催・1日2回実施)
● 2026年6月 1日(月) ① 10:00~11:00 / ② 17:00~18:00
● 2026年6月 6日(土) ① 10:00~11:00 / ② 17:00~18:00
● 2026年6月12日(金) ① 10:00~11:00 / ② 17:00~18:00
● 2026年6月28日(日) ① 10:00~11:00 / ② 17:00~18:00
Vane Online 編集部後記
地球沸騰化や生物多様性の損失が叫ばれるいま、生物の多様な生息環境であり、防災や炭素吸収の役割も担う「里山」の再生は、一刻の猶予も許されないテーマです。「ひとつしかない地球を次代へ引き継ぐ」という強い意志のもと、36年間にわたりブレずに継続されてきたイオン環境活動助成。資金の提供にとどまらず、エコツアーやフォーラムを通じて「人と人、人と自然を結ぶプラットフォーム」として進化を続ける同財団の取り組みは、これからの企業財団があるべき姿(パーパス)を明示していると言える。地域に根ざし、未来の子どもたちのために豊かな自然を残そうと奮闘する多くの団体の応募を期待します。
応募方法や説明会の詳細、参加申し込みは、イオン環境財団の公式ホームページをご確認ください。
イオン環境財団 公式サイト:https://www.aeonkankyozaidan.or.jp/
ひとつしかない地球を次代へ引き継ぐ」公益財団法人イオン環境財団
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