公益財団法人イオン環境財団で専務理事を務める山本百合子氏が、VaneオンラインマンスリーPODキャストに出演した。昨年35周年を迎えた同財団を振り返り、今後の展望が語られた。

オンラインインタビューでの山本専務理事

35年間の中で最も忘れられないエピソードは何か、との最初の質問に対し、山本氏が挙げたのはアジアを中心とした各地での「木を植える」活動である。特に印象深いエピソードとして、中国の万里の長城での植樹プロジェクトを振り返った。

「かつて万里の長城周辺は、同国の産業革命時の燃料や建設資材としての伐採により、木が全くない状態でした。そこに日中のボランティアが協力し、国境を越えて100万本の植樹を行いました。日本からは大勢のボランティアの方々とともに、海部元首相や細川元首相にも参加していただきました。現在では当時とはまったく違う、緑豊かな風景となっています」と語った。

そして、このように一つひとつの植樹活動が森として結実する素晴らしさだけでなく、現地での苗木づくりを通じた雇用創出にもつながっていることを紹介。前日、地域の方々が一生懸命に穴を掘って準備する姿が忘れられないと話しながら、同財団の植樹活動が地域のボランティアと一緒に行われることが特徴であると説明した。また昨年は、カンボジアのアンコール遺跡を風雨から守るための植樹も行われ、日本から300名、現地からも同人数のボランティアが力を合わせて活動したことも伝えた。

カンボジアでの植樹活動の様子

さらに山本氏は、創立から今日まで最も大切にしているキーワードが「平和」であることを強調。環境を破壊する最大の要因は戦争であるという認識のもと、平和があってこそ生物多様性や自然が守られるとの思いを込めて木を植え続けていると述べた。35年間続けてきたこの理念を変えることなく活動を継続する意向であり、特に沖縄では「イオン平和の森」という名称を冠して植樹を行っていると語った。また、この植樹は毎年10万本ペースで増加しており、最新の研究では樹皮に潜む微生物が二酸化炭素分解に寄与しているという知見もあり、植樹の効果が多方面から実証されることが期待されていると述べた。

続いて2026年の展望について問われた山本氏は、イオン環境財団が主催する、生物多様性の保全と持続可能な利活用に顕著な貢献をした個人を顕彰する国際賞「生物多様性みどり賞」を本年は日本で開催し、グローバルに活躍する方々を後押しすることを紹介。また、山形県南陽市の大規模山林火災跡地(東京ドーム22個分の森林消失)をはじめとする山火事の森林再生は、通常の植樹活動よりも困難を伴うため、各地域の住民の皆様や子どもたちと協力しながら、生態学的視点から森を再生する取り組みを進めていく予定であると述べた。具体的には、岩手県大船渡市や茨城県などでの打ち合わせも実施しており、東日本大震災や北海道胆振東部地震の経験を活かし、社会からの期待に応えて森の再生活動を続けていくと語った。



第1回 アンコール イオン ネイチャーパーク植樹の様子



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