アサヒ飲料株式会社の「CO2を食べる自販機とCO2リサイクル」と「ウィルキンソン タンサン ラベルレス エコマルチパック」の2つの環境負荷低減への取り組みが、「2025年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した。

受賞した取り組み①:「CO2を食べる自販機」とCO2リサイクル

「CO2を食べる自販機」は飲み物を販売するだけでなく、内部に組み込まれた特殊な吸収材によって、大気中のCO2を回収するという機能を備えた、国内唯一の自動販売機。吸収材は、加工や輸送に伴うCO2排出量を上回るCO2吸収効果を持ち、1台当たりの年間CO2吸収量は、稼働電力由来のCO2排出量の最大20%、スギ(林齢56-60年)に置き換えると約20本分に相当する。2023年6月に展開を開始し、2025年9月末時点で全国に約3,700台を設置している。

 回収したCO2は、自治体や企業と連携し、コンクリートやアスファルト、タイルの原料として活用。CO2を資源として循環させることで、循環型かつ脱炭素社会の実現を目指しています。また、吸収材をサンゴ保全やブルーカーボン生態系※1の再生にも活用することで、生物多様性に配慮した持続可能な社会の実現にも貢献していく。

※1:ブルーカーボンとは「海洋生態系に蓄積される炭素」のことであり、そうした作用を有する生態系

《審査委員の評価》

 自社事業の設備機器である自動販売機は屋外空間に常設している条件を活かして、資源循環に寄与する素材をつくるという発想がユニークだ。アサヒ飲料株式会社はこれまでも循環型社会に貢献する活動を行って評価を得ているが、その特徴は柔らかい発想力を受け入れ、研究や実証実験を経て社会実装までを目標とする懐の深さにある。大企業の中での小さな活動だが、見せかけだけの企業のCSRに留まらないことが伝わる好例だ。全国で導入が進むことを期待する。

受賞した取り組み②:「ウィルキンソンタンサンラベルレスエコマルチパック」

「ウィルキンソン タンサン ラベルレス エコマルチパック」は、従来のマルチパックのように紙資材でペットボトルの胴部まで覆うのではなく、上部のみを固定する形状にすることで、紙の使用量を75%削減した。廃棄時にかさばらず、扱いやすさも向上している。サイドパネルには切り欠きを設けることで、ボトルを1本ずつ取り出しやすくなるよう工夫。さらに、ラベルレスボトルを採用することで、プラスチック使用量を削減し、分別の手間も省いています。これらの工夫によって、従来の包装に比べて環境負荷の低減と手軽さを両立したパッケージになっている。

《審査委員の評価》

 マルチパックの紙使用量を大幅に削減し、廃棄時のコンパクト化を実現した点が評価された。従来は環境負荷や嵩張りが課題であったが、紙量を最小限に抑えることで環境への優しさと捨てやすさを両立した。ラベルレスボトルと組み合わせることで、より一層エコを実感できる仕組みとなっている。サイドパネルを立体的に配置し保持性を確保しつつ、切り欠きにより取り出しやすさも実現。石油由来資材を使わず、環境配慮とユーザビリティを両立させたパッケージとして仕上げられている。