イオントップバリュ 下期価格戦略と新商品発表会が9月30日、イオンモール幕張新都心で行われた。9月の飲食料品の値上げは1,422品目となり、9か月連続で前年を上回るなど、物価の高騰に歯止めがかからない中、今回イオントップバリュは春に続き、今年2度目の大規模値下げ約60品目を発表した。その一つひとつが価格の優位性にとどまらず、「コツコツコスパ」をキーワードに、企画・開発・生産・物流・販売に至る全プロセスを一元管理し、無駄を徹底的に省くことで、さらなるコスト削減と価格維持を追求。消費者が満足できる商品を生み出す戦略が結実した価格戦略と新商品の発表会となった。

消費者の変化するニーズに対応し、「お客さまの今」に寄り添う商品開発

最初に登壇したイオントップバリュ株式会社代表取締役社長・土谷美津子氏は、数多くの生活必需品が値上がりし、消費者の“財布の紐が固くなる”中、生活必需品についてはプライベートブランド商品への切り替えが進行しているという市場動向に着目した。そこでは価格だけでなく、安全性や環境・社会への優しさ、使い勝手の良さなども重視され、選ぶ力が高まり、それが消費者意識の新たな潮流となっていると述べた。また、プライベートブランドには価格の優位性に加えて、選び抜かれた良質さが求められていると語った。

そういった背景の中で、トップバリュの商品においても価格と品質の両方において期待に応える必要があり、今回の値下げはそれらを反映させたものであると話した。そして、その値下げは“何かを無理する”ことで実行されているのではなく、グループの規模を最大限に活かし、計画生産や全量買い取り、流通の中間コストの削減に徹し、独自のグローバルなネットワークを活かしたサプライチェーンを構築することで可能になっていることを強調した。さらに「気軽さ・便利さ・価値ある商品」という消費者の変化するニーズに対応し、「お客さまの今」の生活に寄り添う商品開発をさらに進めているという基本的スタンスを確認。今回は価格対応だけでなく、“物価高の中でも新しい食の楽しみ方を提供する商品”も登場したことを強調した。

写真左)会場の様子   写真右)代表取締役社長・土谷美津子 氏



最後に土谷氏は前回発表した新商品について消費者から届いた声を紹介。

カフェインレスで完全オーガニックのレモングラスを使用した「オーガニックレモングラスティー」や、茹でたパスタに混ぜるだけの「ペペロンチーノ」、さらにカカオの代替素材としてひまわりの種を使用した「チョコか?」などが、価格だけでなく、味やボリューム、品質においても大変好評であることを伝えた。

商品の魅力をさらに高めながら、大幅な値下げにチャレンジ

続いてプレゼンテーションを行った同社取締役商品開発本部長高橋幹夫氏は、今回のトップバリュ新商品の具体的な魅力を説明した。 まず高橋氏は果物の値上げに言及。その中で冷凍果実の売上が伸びている中、トップバリュでは例えば、ブルーベリーであれば世界中のサプライヤーと商談。自社の物流で商品の引き取りも行うなど、仕入れの仕方、物流の在り方を見直すことにより、今回の値下げに結びついていると話した。そして、環境にも配慮し、オーガニックも値下げのラインナップに加わっていると述べた。

取締役商品開発本部長 高橋幹夫 氏



次に紹介したのはパックご飯。この商品は原料である米の価格の高騰によって値上げが起きている状況を確認。取引先である米生産者対し、計画的な引き取りやきめ細かく単品ごとに生産をすることで値下げを実現したと語った。

また、米の代替品として既に販売している「ガッツリ飯×ガッツリ飯」のすべての商品の価格見直しにチャレンジし、下期に発売を開始すると話した。

さらに米の取り組みとしておにぎりに着目。神楽坂の日本料理「一凛」橋本幹造料理長監修のもと、トップバリュとして一般的な醤油風味の茶飯ではなく、ほうじ茶の上質な香りの茶飯と刻み昆布の奥深い味わいが特長の本格的な和食の味が楽しめるおにぎりを開発したことを伝えた。

米代替としては、パスタ関連の商品を紹介。消費者の声を受け止め、コストが上がらない形での商品に改良を加え、一食で満足していただけるボリュウミーなラインナップとなっていると語った。また、ビスケットにおいては、従来の商品では活用されてない原料を使ったものが大変好調であることを強調。新たにさつまいもののクッキーをラインナップに加え、充実させていくと述べた。

そして、9月にリニューアル発売した「トップバリュ Barilla(バリラ)パスタシリーズ」を紹介。145年の歴史を持つイタリアの老舗メーカー「Barilla社」の乾麺を使用し、伝統的な製法が生み出すアルデンテの食感と豊かな小麦の香りが特徴の同商品が今回のリニューアルでは、さらに美味しさを追求しながらも、498円というお手頃な価格を実現したと話した。

1974年、メーカーの値上げをきっかけに消費者視点で考え、無駄なコストを抑えることなどによって低価格を実現したトップバリュ。物価高騰の中で今年2度目の大規模値下げとなる約60品目を発表した今回にもその精神は受け継がれている。同時にそこには「チョコか?」のように環境負荷の低減に繋がる新商品も多くあった。

「お客さまの今」の生活に寄り添いながら、地球の未来も見つめるトップバリュ。今後の動向にさらに注目していきたい。

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