8年に環境や社会に配慮した製品やサービスを環境負荷低減と社会的責任の遂行に努める事業者から優先するグリーン購入の普及・拡大に取り組む団体を表彰するグリーン購入大賞。その第25回目となる表彰式は12月12日に行われた。
審査委員長を務めたGPN会長 梅田靖氏は、25回目となる今年度もSDGsの目標達成に寄与する消費と生産の取り組みや持続可能な食料システムの維持・発展に寄与する取り組みの周知を図るために昨年に引き続き、農林水産特別部門を設け、全体で13団体を表彰したことを説明。今年度はカーボンニュートラルをはじめ、脱炭素の加速や再エネ電力の導入を促進する事例が多く、購入・所有ではなく、シェアリングの促進や再資源化する事例や衣類や繊維に関する応募も増えたことなどを伝えた。そして、SDGs目標達成に寄与する取り組む先達として成果に対するプロセスや関係者との連携など、そのエッセンスを伝播する役割をGPNと共に担ってほしいと語った。
来賓挨拶に立った環境省大臣官房審議官飯田博文氏は、受賞団体の功績に敬意を表した後に様々な環境問題に直面している今、経済社会を持続可能でレジリエントなものに再設計し環境と成長の好循環を行う必要があることを強調。特に2050年のカーボンニュートラルを実現するためにはライフスタイルの変容が不可欠であり、環境省としても新しい国民運動であるデコ活をさらに推進し、国民の新しい暮らしを後押したいと話した。
経済産業省大臣官房審議官GXグループ担当 田尻貴裕氏は、GXの柱の一つの柱であるサーキュラーエコノミーの実現は気候変動や資源枯渇だけではなく、地方創生にも貢献できるという観点から非常に重要な取り組みであることを述べ、昨年3月に成長志向型の資源自立経済戦略を取りまとめたことを報告。今回の経済大臣賞を受賞した取り組みは消費者に新しい価値観を発信し、サステナブルな社会の実現に大きく貢献していく内容であると称えた。
農林水産相大臣官房審議官(技術・環境担当)西経子氏は、令和3年に緑の食料システム戦略を策定し、環境に配慮した行動変容につなげていく取り組みを進めていることを紹介。農政の憲法といわれる「食料・農業・農村基本法」の4半世紀ぶりの改正が、環境と調和のとれた新たな農政の基本理念として位置づけられたと述べた。そして今回農林水産大臣賞を受賞した取り組みが持続可能な食料システムの確立に向けて先進的なモデルとなると高く評価した。
受賞記念スピーチでは大賞を受賞した9団体が登壇。大賞・環境大臣賞を受賞したSAGA COLLECTIVE協同組合理事長 樺島雄大氏は佐賀県の伝統産業10業種11社の製造業で構成されている同協同組合が何世代にもわたり、自然の恵みにより成り立ってきたことを力説。次世代に受け継がれていくために地球・社会・人にやさしい「エシカル」を心構えに持続可能なものづくりを目指す重要性を強調し、「循環」と「継承」をキーワードに今後も取り組みを加速したいと語った。
大賞・経済産業大臣賞に輝いた株式会社エアークローゼットの代表取締役社長兼CEOの天沼聡氏は、同社が日本初の普段着のファッションシェアリングサービス「airCloset」の内容を紹介。消費者が無理をしない、我慢を強いらないサービスや製品を楽しんでもらう取り組みが廃棄の抑制につながっていることを訴えた。
大賞・農林水産大臣賞を授与された築野グループ株式会社 代表取締役社長築野富美氏は、一粒の米から生まれる可能性を最大限に増やすことに挑戦してきたことを述懐。一人の力ではなく、あらゆる方々の支援が必須であり、米ぬかに夢を抱いて一粒の米から社会を変える。この信念をもとにこれからも挑戦を続けたいと抱負を述べた。
■第25回グリーン購入大賞 審査結果
◇大賞・環境大臣賞
SAGA COLLECTIVE協同組合(行政・民間団体部門)
『循環と継承。佐賀の10業種11社がともに持続可能なものづくりの本質を追う』
◇大賞・経済産業大臣賞
株式会社エアークローゼット(大企業部門)
『脱炭素と衣服廃棄削減を実現する普段着のファッションシェアリングサービス』
◇大賞・農林水産大臣賞
築野グループ株式会社(農林水産特別部門)
『国内で発生する米ぬかと廃食用油の高度有効利用でサーキュラーエコノミーを実現』
◇大賞
大日本印刷株式会社(大企業部門)
『「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」-環境配慮パッケージングで2023 年度約19 万トンのCO₂排出量削減効果を達成-』
◇大賞
株式会社ワークスタジオ(中小企業部門)
『美しくて新しい繊維の資源循環・循環型繊維リサイクル『PANECO®』』
◇大賞
株式会社wash-plus(中小企業部門)
『洗剤を使わず人と地球にやさしいアレルゲンフリーの洗濯「wash+Technology」』
◇大賞
足利市(行政・民間団体部門)
『「足利市グリーン購入調達方針」を基にした全庁的な取組』
◇大賞
学校法人国本学園 国本小学校(行政・民間団体部門)
『KUNIMOTO Re-Project 2023 ~多くの人やモノを幸せに、身近な人を笑顔にしたい~』
◇大賞
竹本油脂株式会社(農林水産特別部門)
『ゴマ調達を通じたアフリカ産地における支援活動』
◇優秀賞
ニチバン株式会社(大企業部門)
『つくる、使う、捨てる、まで。天然由来主原料のセロテープ®は、ず~っとサステナブル』
◇優秀賞
株式会社エナーバンク(中小企業部門)
『環境と経済を両立。激変する電力市場に対応した再エネ電力調達、脱炭素化を支援』
◇優秀賞
中野製薬株式会社(中小企業部門)
『Z世代・α世代の顧客、美容師に向けてのナカノワックスを通じたグリーン市場の拡大』
◇優秀賞
グリーンコープ生活協同組合連合会(農林水産特別部門)
『市民・地域と共に環境を守るグリーンコープ運動を発展させ持続可能な社会を創っていく』