自然エネルギー財団は2024年9月27日に、シンポジウム「太陽光発電の導入拡大へ、実行策と解決すべき課題」を開催した。

同シンポジウムでは、日本の脱炭素に不可欠な太陽光発電の導入拡大をテーマに、各分野の専門家が具体的な実行策や課題などについて、講演とパネルディスカッションを実施。地域社会と共生を図りながら、太陽光発電を地域や産業の競争力強化に生かす道筋を探った。

イントロダクションでは「導入加速に向けた提言」と題し、自然エネルギー財団 研究局長石田 雅也氏が講演。2030年までに再エネ発電容量を3倍にすることを世界の先進企業が日本の政策に提言していることに触れ、立地に関する制約の大幅な改善や経済的なインセンティブの拡充など導入拡大に向けた主な課題を挙げた。さらに自然エネルギー財団による国、自治体、産業界に向けた21項目からなる実行策の提言を紹介した。

講演では、東京都 環境局 建築物担当部長関威氏、市民エネルギーちば 代表取締役東光弘氏、オリックス 環境エネルギー本部 アセットマネジメント部 開発マネジメントチーム長大隈 慎二郎氏、パナソニックホールディングス テクノロジー本部 ペロブスカイトPV開発担当松井 太佑氏、ごうぎんエナジー 営業戦略部 副部長井上 光悦氏が登壇。

関氏は、2030年カーボンハーフ実現を目指す東京都の地域特性から極めて重要となるな建物対策について、東氏は、環境配慮型再エネ×脱炭素農業=地域再生と題し、耕作放棄地を有効活用しながら太陽光発電を行うことができるソーラーシェアリングの様々な可能性を語った。大隈氏がコーポレートPPAの可能性や課題に触れ、井上氏は、ごうぎんエナジーの取り組みを説明や荒廃農地PPAを実現した事例を紹介した。

その中でパナソニックホールディングスの松井氏は、ペロブスカイト太陽電池について講演。日本のような平地面積が少なく、建物の屋上も設置面積が限られるは、建物の窓や壁面等を利用した発電が不可欠となる中、ガラス建材一体型ペロブスカイト太陽電池のプロトタイプを開発し、開始している長期実証実験を紹介。現在も多くを占める結晶シリコン系の太陽電池が抱える透光性やデザイン面の課題を解決し、「発電するガラス」建材として独自のインクジェット塗布製法と、レーザー加工技術を組みあわせることで、サイズ、透過度、デザインなどの自由度を高め、カスタマイズにも対応可能であることを伝え、5年以内の量産を目指すことが語られ、期待を集めた。

石田氏をファシリテーターとするパネルディスカッションでは講演を行った5名が、今回のシンポジウムのテーマである太陽光発電の導入拡大に対する実行策と解決すべき課題について議論した。