キモは「低炭素な船舶」「地もの・旬もの」「南房総の温かい文化」の三拍子

東京湾フェリー(本社:神奈川県横須賀市。齊藤昌哉社長)は、第44回日本旅のペンクラブ賞(主催:日本旅のペンクラブ)を受賞。「旅の日」に当たる今年5月16日に授与式が行われた。

同社は東京湾の入り口、浦賀水道、で神奈川・三浦半島と千葉・房総半島の間を約40分で結ぶフェリーを運航する海運会社だ。

お膝元の横須賀や市内の久里浜商店街を始め、対岸の富津市、南房総市、館山市など南房総5市町の自治体・民間事業者と連携し、自ら牽引役となって、周辺地域の”SDGsツアー”を通じて、旅文化を盛り上げている点が評価された。

同水道を挟んだ両岸地域の文化・伝統・産業にこだわった、観光アイテムの”掘り起こし”やPR、ツアーの促進に同社はとにかく熱心だ。

2023年はアメリカ海軍のペリー提督が黒船で横須賀・浦賀に来航した1853年から、ちょうど170周年。これを記念して、同社の「しらはま」丸を、黒船風にラッピング、ペリー関連のグッズの開発にも挑むなど、話題作りにも余念がない。

周辺地域ツアーも次々に”開拓”。一例を挙げれば、今年6月上旬、南房総特産で旬の、「房州びわ」の食べ放題をウリにしたツアーを企画。

富津・金谷周辺で水揚される、幻の魚「金谷黄金アジ」の調理体験と、これをアジフライにした昼食、南房総名物「太巻寿司」の手巻き体験、廃校をリノベーションし2015年12月にリニューアルオープンした、道の駅「保田小学校」(鋸南町)の訪問など、”地産地消”の盛りだくさん。

「保田小学校」は、懐かしいアルミ製の食器で配膳される、学校給食風の定食がすでに有名だが、併設の旧幼稚園施設もリノベーションし2023年10月にリニューアルオープンした、都市交流施設「道の駅保田小附属ようちえん」も特筆だ。

園舎をできるだけ残し、旧教室は、「地もの」の”海の幸・山の幸”をふんだんに使った飲食店やショップ、旧遊戯室はプレイカフェ、旧職員室・保健室はワーキング・スペースとし、資源の有効活用を実践。まさにSDGsそのものだ。

「房総半島は日本の酪農発祥の地で、美味しい牛乳や、あまり市場に出回らない上総牛を始め、マッカーサーが、進駐軍のハンバーガー用に作らせたと言われる館山のレタス、天皇にも献上された長狭米など、知られていない名食材が山ほどあります。乞うご期待を」

 と、南房総観光の取り組みを主導する、同社常務・寺元敏元氏の夢は膨らむばかりだ。

「ペリーの黒船」風に”変身”した東京湾フェリー自慢のフェリー「しらはま」。横須賀・久里浜~房総半島を40分ほどで結ぶ。SDGsな交通手段として注目されている(東京湾フェリー)

南房総のフルーツといえば「房州ビワ」!漢字では「枇杷」。5~6月がシーズンで魅惑のビワ狩りが楽しめる

農家の直販所では大ぶりの「房州ビワ」がぐっとお安く手に入る。岩田びわ園にて。

廃校になった小学校を有効活用しSDGsな道の駅として”復活”、その名もズバリ「都市交流施設道の駅 保田小学校」。懐かしいアルミ製食器で盛られる給食スタイルの定食が楽しめる「里山食堂」は、今や全国区。(共立ソリューションズ)

「保田小学校」には教室を”居抜き”したお店も。写真はピザ屋「廃校ピッツェリア Da Pe GONZO」

旧保田小学校に併設されていた幼稚園も、2023年10月「都市交流施設・道の駅 保田小附属ようちえん」としてリニューアルオープン。写真は親子で遊べるプレイカフェ(共立ソリューションズ)
 

ブランド魚「金谷黄金アジ」を使った、贅沢な三枚おろし体験

自ら捌いた金谷黄金アジはその場でフライに

やたらとデカい「太巻寿司」作りにも挑戦!南房総ではお祝い時に欠かせない