1.5℃目標って何?

2015年に開催されたCOP21で合意されたパリ協定では、気候変動緩和策の目標。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ(2℃目標)とともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(1.5℃目標)が示され、締約国は中長期的な目標を立て、5年毎に目標を更新・提出することが決定した。

努力目標から事実上の目標へ

その後、2018年に発表されたIPPC「1.5℃特別報告書」では気温の上昇や海面の上昇、生物海水面の上昇多様性及び生態系に対する影響では2℃上昇と1.5℃上昇では明確なちがいを指摘。その後、2021年に開かれたCOP26では、1.5℃目標に向かって世界が努力することが正式に合意された。

今のままでは達成できない

しかし、現在までに世界各国が示している温室効果ガスの排出削減目標では、全てを合わせても、この「1.5℃目標」を達成するには不足しているのが現状。各国政府には、この排出削減努力の不足を補うべく、あらゆる分野において急速で大幅な削減を行なうことが求められている。

現状はすでに1.1℃上昇
5年以内1.5℃上昇も

2023年1月9日、欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は、2023年の世界平均気温が1850年以来の観測史上最も高く、産業革命以前と比べて1.48℃高水準で、パリ協定の1.5℃ゴールに切迫していると発表。

同年3月に公表したIPPCからの最新の第6次評価報告書「政策決定者向けの統合報告書」は、世界の平均気温は産業革命前からすでに1.1℃上昇しており、2030年代には1.5℃に達する可能性が高いことを改めて指摘している。

さらに本年4月、世界気象機関(WMO)は5日、世界の年間平均気温が、パリ協定が目指す産業革命前からの気温上昇抑制幅「1.5℃」を今後5年以内に超える可能性が高いと警鐘を鳴らす。