
“実感と実体験の学び”を通じて、環境課題の解決に挑む
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、環境分野の専門人材への需要が高まるなか、東洋大学は2027年4月、川越キャンパスに「環境イノベーション学部」と大学院「環境イノベーション学研究科」を開設する。
近年、気候変動や生物多様性の保全など環境問題はますます複雑化しており、その解決には環境科学だけでなく、AIやデータサイエンスといったデジタル技術、さらに社会へ伝え共感を広げるコミュニケーション力が求められている。東洋大学は、新学部を通じてこれらを総合的に学び、持続可能な社会の実現を担う次世代人材の育成を目指す。
環境課題を解決する「環境創造力」を養う
環境イノベーション学部の大きな特徴は、「環境×デジタル」の融合だ。環境保全や脱炭素に関する専門知識に加え、AI/データサイエンス/デジタル技術/情報分析などを活用し、テクノロジーによる環境問題の解決を探究する。環境問題を単なる理論として学ぶのではなく、実社会で活用できる解決策を創出する「環境創造力」の育成に力を入れる。
社会を動かす「科学コミュニケーション力」
環境問題を解決するには、技術や知識だけでは十分ではない。企業や自治体、市民など多様なステークホルダーと対話し、環境課題への理解や行動を促す力も欠かせない。そのため本学部では、科学的根拠に基づいて情報を伝え、共感や協働を生み出す「科学コミュニケーション力」を重視。企業・行政との共同プロジェクトや対話型授業を通じて、実践的に学ぶ環境を整える。
キャンパスそのものが“学びの教材”
東洋大学川越キャンパスでは、「こもれびの森 GREEN CAMPUS」構想を推進している。約5ヘクタールの里山「こもれびの森」をはじめ、2027年1月完成予定の新校舎には、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)仕様、BEMS(ビルエネルギー管理システム)、サイエンスカフェ、災害対応型水洗トイレなど、最先端の環境技術が導入される。学生は自然環境と最新テクノロジーの両方に日常的に触れながら、実践的な環境学習を進めることができる。


災害時も使える日本初の水洗トイレシステム
新校舎には、「井戸水」「太陽光発電」「浄化槽」を組み合わせた日本初の水洗トイレシステムを導入する。停電や断水が発生した災害時でも利用できる仕組みで、防災・公衆衛生・環境技術を体験的に学べる教材としても活用される予定だ。持続可能性だけでなく、災害への強靭性(レジリエンス)も備えたキャンパスづくりが進められている。
文系・理系の垣根を超える学び
東洋大学では2025年度から「総合知教育」を導入しており、学部を超えた幅広い履修が可能となっている。環境イノベーション学と、経営学/観光学/情報科学/金融/まちづくりなどを組み合わせることで、一人ひとりが自身の関心や将来像に合わせた学びを設計できる。環境問題を多面的に捉え、総合的な視点から解決策を考える教育を実践する。

グリーン人材不足の解消へ
脱炭素社会の実現に向け、自治体や企業では環境分野の専門人材不足が深刻化している。東洋大学は新学部・大学院の開設を通じて、環境行政/再生可能エネルギー/グリーンテック/ESG・サステナビリティ推進/環境金融/エコツーリズムなど幅広い分野で活躍できる人材の育成を目指す。環境とデジタルの両方を理解し、社会実装まで担える人材への期待は今後さらに高まりそうだ。
Vane編集部コメント
脱炭素や生物多様性の保全など、環境課題の解決には理系の専門知識だけでなく、社会を動かすコミュニケーション力やデジタル活用力が不可欠な時代になっている。東洋大学の環境イノベーション学部は、「環境×デジタル×社会実装」を一体的に学ぶ全国でも先進的な取り組みと言えるだろう。キャンパスそのものを実験場・学習フィールドとして活用する教育スタイルは、座学では得られない実感を学生に与えるはずだ。未来の環境リーダーを育てる新たな学びの場として、その動向に注目したい。





