大和ハウス工業株式会社は、2026年9月15日、市民社会と科学主導の国際的なイニシアチブ「Science Based Targets Network(以下SBTN)」が定める自然に関する科学に基づく手法に基づき、調達や事業活動(自社事業)が自然環境に与える影響について、重要性評価および優先順位付けを実施したと発表しました。

その結果、水資源や土地利用に関する重要な課題を整理し、今後優先的に対応を進めるべき重点的な地域や課題を科学的根拠に基づいて特定しています。本評価は第三者検証機関「Accountability Accelerator」の検証を受けており、SBTNが定める手法に沿って適切に実施されたことが確認されています。なお、SBTNが定める自然に関する科学に基づく手法で、自然関連リスクの重要な地域を科学的に特定・公表したのは、住宅・建設・不動産業界で日本初となります。

サプライチェーンと自社事業における重点課題・重要地域の特定

今回の評価により、調達や事業活動が水利用、水質汚染、土壌汚染、土地利用、土地利用の変化(自然地からの転換)などに与える影響から、調達(サプライチェーン)での重点課題と、事業活動(自社事業)での重要な地域が特定され、その妥当性が確認されました。

調達分野においては、自然環境への影響が大きい建材や原材料を特定し、各項目への影響を評価しています。今後目標設定を進めるにあたっては、すでに原産地を把握している木材以外にも、鉄、セメント、砂利・砂について、原産地の把握や調達先の追跡をさらに進める必要があることが確認されました。

自社の事業活動においては、水利用の評価結果から優先的に対応すべき地域を特定しました。発電所など水利用量が特に大きい事業拠点や、水利用が多く河川への排水を伴う工場やゴルフ場が立地する九州地域、さらに生物多様性への影響が高い地域としてメキシコや中国などが重要な地域に位置づけられています。

事業全体での「環境負荷ゼロ」を目指す広範な評価

大和ハウスグループは、創業100周年となる2055年までに事業活動やサプライチェーンを含めた事業全体で「環境負荷ゼロ」の実現を目指す、環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を掲げています。特に、生物多様性の損失を食い止め回復軌道に乗せることを意味する「ネイチャーポジティブ」と、「水循環」を重点テーマとし、各段階で環境負荷低減に取り組んでいます。

今回の分析では、自社拠点での水利用や水質への影響に加え、建築資材の調達が水資源や土地利用に与える影響、建設事業に伴う土地利用の影響を評価しました。調査対象は調達物の原産地のほか、グループ企業101社の5,129拠点(2023年度対象)、および施工現場や保有不動産、太陽光発電設備などのオフサイト拠点65,268拠点(2020年度〜2024年度対象)に及びます。

これらの結果は環境行動計画「エンドレス グリーン プログラム 2029」に反映され、特定された優先地域・課題に対する具体的な目標設定と開示が進められます。また、在来種を活用した緑化や敷地内での雨水の浸透・貯留などを通じ、生物多様性の保全や洪水リスク低減に貢献していくとしています。

「水リスクゼロ」に向けた具体的な取り組みとSBTNについて

同グループは2055年までの「水リスクゼロ」実現に向け、調達及び事業活動における水リスクの把握と低減を進めています。調達面では、大和ハウス、大和リース、フジタの主要サプライヤー207社を対象に水リスク調査を実施し、取水量や排水量、洪水リスクなどを確認しています。また、主要建材の原産地確認やデューデリジェンスも推進中です。

事業活動面では、売上高当たりの水使用量を2029年度までに2012年度比で47%削減する目標を掲げ、節水設備導入や雨水利用による削減を進めています。今後は特定した重要な地域を対象に、SBTNの「Step 3(目標設定)」を踏まえた科学的根拠に基づく具体的な自然目標の設定を進める計画です。

SBTNの目標設定プロセスは3段階で構成されており、Step 1で影響を分析・評価し、Step 2で優先対応地域や課題を特定します。企業はこれら2つの検証を完了した後にのみStep 3の目標設定の検証を受けることができ、検証を完了した企業名はデータベース「SBTN’s Target Tracker」で公表されています。