
「気候危機は加速している。極度の暑さは『沈黙の殺し屋』と呼ばれているが、
その表現でさえ危機の実態を過小評価している可能性がある」
(国連のグテーレス事務総長;2026年7月31日)[1]
「“エコサイド”を犯罪として法制化している国が、現在のところごく少数にとどまっていることは、
国際レベルにおいて“エコサイド”という犯罪を確立する必要性を改めて示している。」
(国連のグテーレス事務総長;2024年5月21日)
1. 日本で桜が咲かなくなるという
『2050年の天気予報Ver.2』の衝撃度
「24年後の2050年に、あなたご自身は、何歳になっている?」
「このまま気候変動が進んでしまったら・・・2050年には、日本では桜が咲かなくなる。屋外でスポーツもできない。日本の夏は40度超えが当たり前になり、暑すぎて子どもが外に出られない。11時〜15時は外出自粛令。熱中症搬送で救急車不足。最大瞬間風速100m/秒のスーパー台風。カツ丼はいまや高級品で、気軽にコーヒーも飲めない時代になっている。」
これは、いまから24年後の2050年8月8日時点の予報の内容である。SFでも漫画でもなく、科学的に検証された「近未来現実」である。今月2026年8月7日に公表された動画『2050年の天気予報Ver.2』[1]の衝撃的な内容である。12年前の2014年に発表され日本全国に衝撃を与えた『2050年の天気予報』の内容をアップデートしたものである。
群馬県伊勢崎市で最高気温43℃を記録する等、日本各地の延べ157地点で40℃以上を予想。また午前11時から午後3時までの外出自粛令や保育園・幼稚園の休園が日常化。920ヘクトパスカル級のスーパー台風まで登場し、最大風速60m/s、最大瞬間風速100m/sの猛烈な台風や大雨被害に加え、大阪湾などで5mを超える高潮のリスクが生じる等の想像を絶する気候危機をリアルに突きつけ、日本中に大きな衝撃を与えた。
食糧品も、熱波と水不足のためコメの不作やサケの消失、世界的な高温と干ばつのための飼料・食料・油の輸入価格も高騰し、牛・豚・鶏の生産の落ち込み等でカツ丼が気軽に食べられなくなるほどの食材高騰、カカオやコーヒーの贅沢品化等の深刻な食糧・生活への影響等々、より差し迫った脅威として描かれている。
多くの日本国民が、今回、この動画を観て「これから24年後の2050年には、まさか、本当に、そんなことになってしまっているのか」と、その想像を超えた事態の深刻さに震撼し息をのんだ。
いまから12年前の2014年に『2050年の天気予報』[2]が発表され日本全国に衝撃が走ったことはまだ記憶に新しいが、あれから12年が経過したいま、当時はまだ”将来の予測”として描いた多くの仮説が、すでに待ったなしの現実になっており、さらにその影響は、かつてないスピードでさらに深刻度を増している。そして、ますます事態は悪化の一途を辿っている。
今回リニューアル版『2050年の天気予報Ver.2』の製作となったことについて、東京大学未来ビジョン研究センター江守教授は、「このままのペースでCO2を出し続けた場合に2050年8月に起こりうる気象の姿だ。現実の暑さが2014年当時予測をはるかに超えていってしまっている。とんでもないことだ。まだ25年も早い。
12年前東京の連続真夏日の日数は2050年8月に50日と報じたが2023年には軽々とそれを超えて64日になった。日本だけではなくフランス等世界も同様だ。気温の上昇を0.1度でも低く抑えることが私たちの命を守ることにつながる。我々や次世代の命を守るにはCO2が出ないことが当たり前になるような仕組みを作ることが大切だ。」と訴えた。
通常台風は西から東に移動するが、今年2026年8月上旬に発生した台風15号は東から西に行く「逆走ノロノロ台風」だった[3]。2050年8月にはこうした異常な台風の頻度がさらに頻発し加えて上陸時中心気圧920ヘクトパスカル瞬間最大風速100メートル級のスーパー台風が日本列島を襲い家屋の屋根が飛び鉄塔が倒れる甚大な被害が予想されている。
今年も熊本や千葉、石川、福井等、日本全国で甚大な大雨・洪水被害も散見されたが、2050年8月にはさらに海水温が高くなり記録的な豪雨や津波のような高潮予想も描かれている。もはや安穏としてはおれない。楽観できない状況まで追い込まれてきてしまっている。この緊張感を誰しもが「自分ごと」として共有せざるをえない事態に至っている[4]。これは、もはや「予想」ではなく、明らかに、いまここで、自分自身に実際に起こる「近未来現実」なのである。
[1] 2026年8月7日にYoutube動画で公開された。出演は、井田寛子(気象予報士)と江守正多(東京大学未来ビジョン研究センター教授)である。製作委員会は、日本気候リーダーズパートナーシップ、NHKエンタープライズ、気象キャスターネットワーク、クライメート・ダイアログ。協力は、国連広報センター、東京大学気候と社会連携研究機構、国立環境研究所 気候変動適応センター、気候変動予測先端研究プログラム、国際農林水産業研究センター東京大学の江守教授と気象予報士・キャスターの井田寛子さんがその科学的背景と今必要な行動について解説している。(動画)<このまま行くと日本の夏はどうなる? 2050年の天気予報 ver.2>「11時〜15時は外出自粛令/熱中症搬送で救急車不足/最大瞬間風速100m/秒のスーパー台風」動画「2050年の天気予報(Ver.2)」が2026年8月3日、「暑すぎる夏を終わらせるWEEK」の開幕に合わせて公開となった。「暑すぎる夏を終わらせるWEEK」は、集中的に気候変動に関する発信を行うキャンペーンだ。本動画の将来予測は、IPCCをはじめとする国際的な科学的コンセンサスおよび最新の科学的知見に基づき、科学監修チームが予測した2050年8月8日の日本で起こりうる気象の姿である。なお、これは確定的な予言ではなく、自然の揺らぎにより予測を上回る影響が起きることもある。本動画の情報は制作時点のものである。
2050年の天気予報Ver.2
https://www.youtube.com/watch?v=DDF9Sg5DLzc&t=4s
[2] 2014年に公表された「2050年の天気予報」は、2014年9月の国連気候サミットに合わせて、WMO(世界気象機関)のが各国のアナウンサーを起用して未来の天気予報を伝える国際キャンペーンの一環としてNHKが制作した日本版。温室効果ガスの排出がこのまま続いた場合の未来の気象を描いた。
[3] 今回の〝逆走ノロノロ台風〟の原因などについて、三重大学気象・気候ダイナミクス研究室の立花義裕教授は、「今回、台風が逆走した原因は、台風の南側に『寒冷渦』があったからです。寒冷渦は低気圧なので反時計回りです。そして、もうひとつ。台風の北側には『南北傾斜高気圧』がありました。これは高気圧なので時計回りです。この間に台風がやって来た。すると、寒冷渦と南北傾斜高気圧の両方の風を受けて、台風は東から西にグーッと引っ張られていきます。これが台風が逆走した直接的な理由です」と解析している。
[4] NHKスペシャル「地球超解析 宇宙から解く!熱波と豪雨の謎」(NHK総合 8月23日(日) 午後9:00 配信期限=8月30日(日) 午後9:59)気候変動が止まらない!?今月、レベル5大雨特別警報が出された日本。豪雨が激甚化、40度超えも相次ぎ、異変が加速している?との懸念も。今、世界中の科学者たちが人工衛星の高性能センサーやAIを駆使し、その謎に迫っている。いわば、宇宙から地球をまるごと“超解析”する試みだ。見えてきたのは、遠く離れた場所の変化が、日本の豪雨や暑さへと結びつく巨大な異変の連なり…。私たちの“今後”を読み解く!
【次章】 2.「過去にないレベルで世界的気温上昇、日本の猛暑と大雨は確実に年々増加中」からの寄稿文全文は、
下記バナーのリンクからPDFにてご覧ください。






