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アナウンサーとして、そして気象予報士・気象キャスターとして、さらに生活者として気候危機に挑む東海林克江氏にインタビュー。その取り組みや異常気象に対し、自分ごと化を進める考え方などについて意見を伺った。

その日のリアルな出来事から気候変動の話題へつなげる
──2024年からこのコーナーにご登場されていますが、どのような経緯で取り組みを始められたのか、また実施にあたって心がけていることを伺えますか。
東海林: 2024年6月、世界環境デーに「気候危機に関する気象予報士・気象キャスター共同声明」が有志の気象予報士によって発表されました。私がその声明に賛同したことが、この取り組みを始めたきっかけです。
この共同声明は、続く異常気象や気候変動への意識を高めるため、天気予報に加えて気候変動の背景にある気象を伝え、日頃関心のない人にもメッセージを届けようというものです。気象予報士が架け橋になれればという思いで始まりました。
その賛同をJ-WAVE(81.3FM)「JAM THE PLANET」のスタッフが知り、「生放送で説明してほしい」と出演依頼を受けました。当日のナビゲーターはジャーナリストの堀潤さんでした。
生放送中、堀さんから「天気予報に気候変動の話を30秒ほど入れてください」と言われ、その日の大雨(港区で90ミリ)を例に「こうした豪雨は気候変動で増えています」と伝えました。これを受けて局のスタッフも、日々の天気予報の中で気候変動を身近に伝えられる手応えを感じ、「気候変動へアクション!J-WAVE WEATHER INFORMATION」が始まりました。

このコーナーは、平日に1回、天気予報に続けて約30秒、当日の天気やニュース、関心事と結びつけて気候変動を伝えるものです。J-WAVEには10人のアナウンサーがいて、気象予報士でないアナウンサーも担当します。どんな話題を選ぶかも含め、原稿は当日担当の各アナウンサーが作成しています。
例えば「都心で35度を超えました」という天気から話を広げることもありますし、先週はサッカーW杯日本代表発表のニュースを読んだ後、「暑さによって選手の健康リスクが高まっている」という話題につなげました。
このように、皆さんの関心のある話題と結びつけることで、気候変動をより身近に感じてもらえるのではないかと思っています。
──なるほど、その日のリアルな出来事から気候変動の話題へつなげられるのは素晴らしいですね。
東海林: それが私の心がけていることです。ニュースソースの確かさも重要なので、J-WAVEが契約している共同通信社、時事通信社、気象庁、ウェザーニューズなど、信頼できる情報源を使っています。
気候危機のさまざまな情報に触れ、声を上げる
──アナウンサーとして、また気象予報士として、気候危機の情報を日々発信する意義はどこにあるとお考えですか。
東海林: いつものアナウンサーが、いつもの調子で定時に伝えることで、皆さんの耳に自然と届き、より身近に感じてもらえると思っています。
──気候危機は大きなテーマで日常として捉えにくいですが、日々の視点から入っていけるのは貴重ですね。ありがとうございます。では、生活者として日々心がけている気候危機への取り組みを教えてください。
東海林: 皆さんもされていると思いますが、私はプラスチック製品をできるだけ買わないよう意識しています。水筒を持ち歩いてペットボトルを買わないなど、生活の中で少しずつ積み重ねています。また、自分の意見を持つためにさまざまな情報に触れ、声を上げることも大事だと感じています。
先日、エネルギーの地産地消や浮体式洋上風力発電がおこなわれている長崎県五島列島の五島市に行き、「自分の目で確かめることの大切さ」も実感しました。以前訪れたスイスのアルプス氷河も、写真で見ていた以上に後退していて、気候変動の影響を強く感じました。目で見ることも心がけの一つです。

──では、生活者として必要な意識変容や行動変容とはどのようなものだとお考えですか。
東海林: これだけ暑い日が続くと、メディアでも地球温暖化が語られる機会が増えてきたと感じます。「暑さ」と「地球温暖化」が結びついてきている方も多いと思います。ただ、それ以外にも気づいてほしいことがあります。まずは「知ってもらうこと」。これはメディアの力も借りながら大切にしたい点です。
「知る」ことで関心が生まれ、関心を持ったら周りの人と少し話してみる。そうした声が1人から2人、3人、4人と広がり、大きな声になっていくことが重要だと思います。周りの人と一緒に動くことで、社会全体の仕組みも変わっていくのではないでしょうか。
たとえば昔は飛行機でも会社の会議室でもタバコが吸えましたよね。私は吸わないので「嫌だな」と思っていましたが、そこで終わらず声を上げた人がいたからこそ、社会の仕組みが変わったのだと思います。これからも声が大きくなることで、行政や企業を動かす力になるはずです。
今、ホルムズ海峡の問題でエネルギー危機が話題になり、物価上昇や燃料不足など、さまざまな影響が出ています。「日本は資源が足りない」という事実に改めて気づいた方も多いでしょう。こうした危機こそチャンスに変えられるのではないかと感じています。
再生可能エネルギーや自然エネルギーもそうですし、私たちはプラスチックに頼りすぎているとも思います。便利で清潔という良さはありますが、どこか変えていく時期に来ているのではないでしょうか。危機をチャンスに変えられたらと感じています。
四季が失われることに危機感を持ち、自分ごと化へ
─なるほど。そうですね。日常の中にプラスチックは当たり前のようにありますが、そこから脱却しなければならない時期が来ていると感じます。東海林さんはアナウンサーとして「声」をとても大事にされていると感じました。普通の人の声、日常の声――そうした「声」が大切なのだと改めて思い、声を上げる、声を伝える。その「声」は言葉であり、情報でもあり、そして普通の人の声ともつながっているのかも知れないですね。ところで日本は四季ではなく二季化しているのではないか、と。まさに今はもう夏のようです。
東海林:はい。今は「もう夏だよね」と感じるように、5月から9月はずっと暑く、10月も暑い。これでは動植物にさまざまな影響が出ていると思います。魚の獲れる場所が変わったり、獲れなくなったり、逆に今まで獲れなかった場所で獲れるようになったり。植物も咲かない、早く咲く、枯れてしまうなど、日本の良さが失われつつあるのは、寂しいだけでなく危機感を持つべきことだと思います。
─気候危機を「自分ごと化」できるかが大きなテーマですが、東海林さんはどう考えますか。
東海林:そうですね。以前も話したのですが、「自分が何もしなくても企業や政府がやってくれる」「自分1人がやっても変わらない」と思う人は多いと思います。確かに一理あるかもしれませんが、それでは変わりません。どうすれば自分ごとになるかというと、まずは皆さんが知ること。そして意識が変わるよう、メディアの役割も大きいと感じています。
─本日はありがとうございました。






