世界的にサーキュラーエコノミー(循環型経済)への移行が加速する中、京都から産学連携による新たなモデルケースが動き出した。分析計測機器のリーディングカンパニーである株式会社島津製作所と、京都府公立大学法人京都府立大学は、使用歴のある高速液体クロマトグラフ(LC)を修理・整備した「リファービッシュ品」を活用する実証試験を開始した。


京都府立大学に設置した高速液体クロマトグラフ

「持続可能な社会」と「研究環境の強化」の両立

本実証試験は、単なる中古機器の活用にとどまらない。島津製作所が高度な技術力で整備したリファービッシュ機器を、京都府立大学の森林資源循環学研究室(宮藤久士教授)へ貸与し、以下の検証を行う。

● データの有効性と信頼性 :
 大学の研究現場における機器性能の評価。

● 実用性の検証 :
 装置の耐久性、使用感、使用状況(回数・時間)の収集。

● 環境価値の定量化 :
 リファービッシュ機器導入による温室効果ガス排出削減効果の検証
 (京都府立大学ゼロカーボンキャンパス推進センターの活動の一環)。


島津製作所は、得られたフィードバックを基にユーザーのニーズを分析し、循環型ビジネスモデルの構築を目指す。大学側にとっても、研究コストの低減と教育環境の強化が期待できる取り組みだ。

森林資源から生まれるサーキュラーエコノミーの可能性

両者の連携の背景には、長年培われた深い信頼関係がある。両者はこれまで「京都モデルフォレスト運動」を通じ、南丹市の「島津製作所の森」における森林管理手法の開発などで協働してきた。

今回リファービッシュ機器が導入される森林資源循環学研究室では、木材由来の成分からプラスチック代替素材である「PEF(ポリエチレンフラノエート)」を合成する化学変換技術の研究を進めている。化石資源から脱却し、木質バイオマスを有効活用するこの研究において、島津製作所の再生機器が未来を切り拓く重要なツールとなる。

2026年、新たな環境経営のステージへ

島津製作所は2026年4月に新中期経営計画をスタートさせ、「脱炭素社会の実現」「サーキュラーエコノミーの実装」「ネイチャーポジティブの実現」を重要課題に掲げている。本実証は、製品の長寿命化を通じて環境配慮と企業価値向上を両立させる、同社の戦略を象徴するプロジェクトといえる。

「知の拠点」である京都府立大学と、計測技術の最前線を走る島津製作所。両者が描く持続可能な研究・開発環境の構築は、サーキュラーエコノミーの実装加速に向けた確かな一歩となるだろう。