
「次世代海事産業のための国際展示会」と銘打ち、造船・海運・海事産業が一堂に集まる一大イベント「シージャパン」が開催。出展社数630社以上、入場者3万4000人超を数えた。 イラン戦争のホルムズ海峡封鎖で世界中のエネルギー輸送が大混乱に陥る最中の開催となっただけに、入場者らの「船舶」「省エネ・再エネ」に対する関心は、例年に比べ非常に高かった。
(文・写真ともに深川孝行)
【商船三井】
「WIND HUNTER」(ウインド・ハンター)グリーン水素生産・供給船
無人航行船(USV)の一種で、一見帆が補助動力のケミカル・タンカーに見えるが、実は単なる「輸送船」ではない。船自体が、ほぼ自己完結型の「動くグリーン水素製造工場」である。
原理的には帆船と同じで、多数の硬翼帆で風を効率よく捉えて船が推進すると、船体尾部のスクリュー・プロペラが回転、発電機を動かし得られた電力で、海水を純水に転換後、電気分解でH2を生成する。
H2の貯蔵方法には、MCH(メチルシクロヘキサン)方式を選択、トルエンの水素化により、常温・常圧で貯蔵可能で、既存のガソリン供給・輸送インフラをそのまま利用可能。
船は完全無人、AIを駆使し「いい風」求めて自律的に航行。弱風の時は、バッテリーからの給電で電気推進を行う。
MCHの原料となるトルエンを積載、H2と反応させMCHを製造する。満タンになると自動的に母港に帰投、貯蔵タンクに積み降ろす。
将来的には世界中で「WIND HUNTER」を稼働させ、需要に合わせ輸送先を自在に変更可能なサプライチェーンの構築も視野に入れる。

【イグス/独】
コンテナターミナル用iMSPO移動式陸電供給システム
地球温暖化対策の一環として欧州では商船の電動化も進むが、日本では今ひとつ。電動船の普及には、埠頭・桟橋に充電スポット(陸電給電システム)が不可欠だが、自動車と違い設置方式が少々厄介だ。
フェリーなど接岸場所が決まっていたり、中小船舶だったりならば、充電スポットから人力で給電用ケーブルを数m引っ張り、船舶側の受電ソケットに差し込めばいい。だが貨物輸送の主軸のコンテナ船は、内航海運向けやフィーダー船(枝船)といいえども巨大。給電場所に合わせた接岸では、操舵に骨が折れ、さらに給電用ケーブル伸ばしての給電となれば、数mでは効かない可能性が高く、給電作業員の負担が多くなるばかりか、ケーブル断線や、感電の危険が高くなる。
これを防ぐのが同システムで、特に移動時にケーブルをキャタピラ状の樹脂製ケース内に収納、連結した「エネジーチェーンシステム」がキモ。
伸縮するケーブルを切断事故から守り絶縁性も高い。

【日本水素エネルギー/JSE、川崎重工業】
40,000㎥型液化水素運搬船
2026年1月両社は世界最大の「40,000㎥型水素運搬船」の建造契約を締結し、川重坂出造船所(香川県)で建造を開始した。
JSEが事業主体で進めるNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の、グリーンイノベーション基金事業「液化水素サプライチェーンの商用化実証」の一環で、基地と船間の液化水素の荷役や、国際海上輸送を念頭に置いた外洋航行などの実証試験を、2030年までに行う計画。
全長約250m、幅35m、航海速力約18ノット、機関:ディーゼル発電/水素発電・電機推進。

【IHI原動機】
舶用アンモニア燃料デュアル・フューエル・エンジン6L28ADF
旧新潟鉄工の同社が開発、燃焼後にCO2を一切出さない、アンモニアと既存のA重油の中小型用4ストローク混焼ディーゼル機関で、アンモニア混焼率が最大95%以上と高率なのがポイント。温室効果ガス(GHG)を最大90%削減できるという。
2024年に同方式では世界初の商用タグボートに搭載。国際燃焼機関会議(CIMACコングレス)でCIMAC会議賞を受賞。

【ジャパンエンジン】
舶用大型低速・アンモニア・エンジン 7UEC50LSJA-HPSCR
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の、グリーンイノベーション基金事業/次世代船舶の開発」プロジェクトに基づき開発された舶用の大型低速2ストローク・アンモニア・エンジン。2025年4月に純国産初のフルスケール初号機の混焼運転を開始。10月には出荷され、アンモニア燃料アンモニア輸送船(AFMGC)に搭載、実証試験が行われる模様だ。






