
先日、東京の丸の内で開催された「AI博覧会 Summer 2025」に参加した。刺激的で面白かった。
まったくの門外漢ながら、気候危機問題への「解決者」としてAIの貢献は重要な未来志向的な希望になるだろうとの期待もあり、AIの最前線の現在地を知りたく思い、参加した。
会場で各社のブースでいろいろな展示を拝見し、東京大学の松尾研のスタートアップ企業等、実践的専門家諸氏ともいろいろ議論しながら、AIは「諸刃の剣」であると思うと同時に、あらためて、AIが気候危機対策に貢献する可能性が想像以上に大きいことを実感し、そこに嬉しい希望を感じた。
むろん、会場で会ったAIビジネスの最前線でご活躍されている諸氏は、AIに対して肯定的かつ楽観的ではあったが、すぐれたイノベーションには光と影があることには留意が必要であるとも思いった。同時に、AIが気候危機対策に貢献する好機が到来していることも直感した。
まったくの門外漢なので、牛歩のごとく勉強しながらAIが気候危機対策に貢献する可能性について、少しずつ研究しているところではあるが、好い機会でもあるので、以下「AI時代の未来展望」について気候危機対策に対する貢献の観点から、少し考察してみた。
過去の先行研究成果を参考しながら、特に、人間が実現可能なあらゆる知的作業を理解・学習・実行することができる汎用人工知能のAGI(Artificial General Intelligence;以下AGIと略称)[1]やさらには超知性と呼ばれているASI(Artificial Super Intelligence ;以下ASIと略称)[2]等の気候危機解決への貢献についての検証を軸に、以下、論点整理を試みることとしたい。
(寄稿文 全文は下記リンク先PDFでご覧ください)
[1] AGI(Artificial General Intelligence=汎用人工知能)は、人間が実現可能なあらゆる知的作業を理解・学習・実行することができる人工知能である。人工知能の研究においては主要かつ最終的な目標であるとみなされており、未来学やSFにおいて話題に上がることが多い。数多くの企業・研究機関が汎用人工知能の達成に取り組んでおり、代表的な企業組織としてはGoogle DeepMind、OpenAI、Anthropic、OpenCog、中国科学院、WBAI、IBM Synapseなどが挙げられる。汎用人工知能は未だ実現しておらず、一般的には今後数十年以内に実現すると見積もられているが、汎用人工知能は将来的にも絶対に完成しないとする少数派の意見も存在する。さらに深層学習などによって作成された「GPT-4(ChatGPT)が汎用人工知能の初期バージョンである」という論文も存在するが、これには様々な肯定的意見と否定的意見があり、一貫した意見は存在しない。GPT-4(ChatGPT)は多くの人間向けのテストにおいて人類の平均的な点数を上回ることができることが確認されているが、これが汎用人工知能であるかについては論争が尽きず、定義にも様々な意見が存在する。
[2] ASI(Artificial Super Intelligence=超知性)は、人間の知能をあらゆる側面で遥かに超える能力を持つAIシステムである。自己学習・自己進化を続け、医学、物理学、経済学などの複雑な分野で人間には不可能なレベルの問題解決や、科学的発見、技術革新などを可能にすると期待されている。その出現は、科学技術が加速度的に発展する「テクノロジカル・シンギュラリティ」を引き起こし、社会に根本的な変化をもたらす可能性があるとされている。