
アサヒユウアス株式会社は、アサヒグループにおける新たなサステナビリティ事業を展開する企業として2022年に設立。社名にある「ユウアス」がユウ(YOU・あなた)とアス(US・私たち)が意味する通り、共創による社会課題の解決を事業の主軸にバイオマス素材を活用したエコカップ「森のタンブラー」やローカルSDGsに貢献するクラフトビールなどを提供してきた。ここでは昨年、新しく代表取締役社長に就任した森 裕佳子氏にインタビュー。事業活動をスタートし、4年目から5年目へ向かう同社の今後の展望などを伺った。

──2025年の前半を振り返り、最も印象に残っている取り組みは何でしょうか。
森:大阪・関西万博でアサヒグループ全体と大阪府全体の取り組みの中で弊社がプロデュースしているアップサイクルのクラフトビール※を大阪ヘルスケアパビリオンで販売したことが大きな取り組みだったと思っています。そこでは大阪産の温州みかん、にんじん、えびいも、デラウェアなどの農産物の規格外品をアップサイクルしたのですが、まず材料に興味を持っていただき、その素材がどれも大阪産であることに共感していただいていたようです。結果、お蔭様で販売数量としては予定数よりも上回るペースとなっています。
※酒税法上は発泡酒

──今、進めている最新の事業はどのようなものでしょうか。
森:設立当初からの商品に「森のタンブラー」がございます。これは“使い捨てをなくしたい”という担当した社員の想いからスタートしたのですが、実際に販売を進めていく中で価値観が変遷していったことに着目をいたしました。お膝元の墨田区さんとの取り組みを事例に挙げますと、老朽化で伐採しなければならない隅田川沿いの桜の木を使ってタンブラーにさせていただいたのですが、お客様からお話を伺っている中で環境にいいという切り口だけではなく、地域のレガシーを、形をかえて残すという価値も見つけ出すことができました。こういった経験で得たものをアップデートし、タンブラーというツールを使ってどのような価値をお客様にお届けできるか、そこに後半戦はチャレンジしていきたいと考え、準備を進めております。また、地域共創という視点は、弊社にとって大切なキーワードになります。どこでも買える大量の製品ではなく、この地域で愛されるものを提供することは、サステナブルを推進する一つの切り口になると考えています。

──「共創」というキーワードも御社の取り組みを語る上で欠かせません。共創パートナーを選ぶ上で大切にされていることは何でしょうか。
森:協業ではなく、共創は、いっしょになることで何か新しいものが生まれる状態、イノベーションや融合が起こるということだと私自身は捉えています。そのためには、クラフトビールやタンブラーというアウトプットをつくるだけでなく、この提供を通して、どのような良い社会にしたいか、という想いをお聞きし、志を同じにする方と共創したいと思っています。ご相談をいただくお客様の中にはアウトプットのみが先行し、「なぜ」「何のために」という議論をあまりされていない場合があり、共創をスタートするにあたってはそこから時間を掛けて深堀することからごいっしょさせていただいています。

──「社会課題解決をビジネスにしていく」という挑戦を御社はされています。それを実現していく上で重視していることを教えてください。
森:1年間、社長をさせいただいて、正直難しい挑戦だと思っています。企業ですから様々な取り組みは最終的に収益化する必要があります。ただ、それが壁になって立ちふさがるとそもそも向き合いたかった社会課題からブレていく場合があります。だからこそ、本質からブレずに、持続可能なビジネスにしていくことが最終的に社会課題の解決になると考えています。
地域共創においても、結果的に私たちだけが利益を得るのではなく、地域経済も潤う形になることが大切だと思っています。そこで私は、ミーティングの中でブレを感じると「何のためにこの事業をやりたかったのか」と問いかけるようにしていますし、それが私の役割だと思っています。
その上でどれくらいのタームで何を目指すのか、結果が出ない場合、撤退判断はいつするかという時間軸への問いかけも意識的にするようにしています。

──2022年の創立から3年が経過しました。そして、あらためて今後の目標やビジョンを教えてください。
森:私が就任してから、パーパスを今一度自分たちの言葉で表現することに時間をかけて議論しています。これは自分たち社員が何を目指すのか、自分たちが何者か、ということを確認し、指針とするための取り組みとなります。
そして、完成したパーパスは「今をたのしく・おいしくすることで、未来をここちよく」です。
サステナビリティは義務感ではなく、大阪・関西万博のクラフトビールのように「美味しかったあの飲み物は、実はアップサイクルだった」と気づくほうが取り入れやすくなります。そういった点からこのパーパスは、今の生活を楽しくすることが、未来につながることをわかりやすく表現できていると思っています。弊社グループが掲げるAsahi Group Philosophyでは、「楽しい生活文化の創造」を目指しています。そのDNAを取り入れながら、将来を心地よくするために私たちが今、ここにいるということを、パーパスを通して社員が共有し、今後も社会課題解決をビジネスにしていくチャレンジを続けてまいります。
