CSR活動の一環として、2007年より小・中学生を対象とした理科の出張授業・教材提供による次世代育成支援活動を展開している東レ。ここではこの4月に行われたワークショップと夏以降、実施予定の体験型教室を紹介する。

「モノとコトの共創」による染色体験ワークショップを実施

東レ株式会社(以下「東レ」)、東レ建設株式会社(以下「東レ建設」)、アダストリア株式会社(以下「アダストリア」)、は、“GATHERLIN”(ギャザリン)※1をコンセプトに、ウェルビーイングな暮らしを目指した「モノとコトの共創」として、4月19日、4月20日の2日間にわたり、農・食・健康の複合施設「コスギアイハグ(KOSUGI iHUG)」※2(運営:東レ建設、所在地:神奈川県川崎市)において、主に小学生の親子を対象とした染色体験ワークショップを開催した。

同ワークショップは、サステナブルファッションという業界の課題、そして、これからの未来の暮らしについて考えるきっかけとして、“GATHERLIN”というコンセプトのもと、3社のほかに、地元の飲食事業者(株式会社ナチュラ※3、東京農業大学の同好会(以下、「TFT×nodai」)※4、そして、地域の親子が集まり、廃棄野菜を活かした染色体験や農業体験を行った。

当日の様子



今回のワークショップでは、アダストリアの人気ブランド「スタディオクリップ」※5のオリジナルエプロン(廃棄予定のタマネギの皮から抽出した成分で染めた東レのナイロン素材「TRUSSAIR™」(トラセア)※6を使用)について、TFT×nodaiの学生たちから、ものづくりの背景を分かりやすく伝えた後、実際にガーゼのハンカチをタマネギ染めする体験を行った。また、染めたハンカチを乾燥させている間に、コスギアイハグ内の農園(トレファーム)で、砂栽培体験も実施。このように、小さな子どもでも楽しめるよう工夫した結果、2日間にわたり、21組53名の親子が参加した。

ワークショップに参加した親子からは、「楽しみながらも勉強になるイベントで子供も笑顔で参加していてよかった」や「染色や栽培など、なかなか体験できないので貴重な経験となった」との感想が得られ、企画運営を担当したTFT×nodaiの学生は、「プロジェクトに参加し企画が形になり、大きな感動と達成感を感じた。今後もこうした取り組みに積極的に参加していきたい」と語っていた。

今回のワークショップでは、暮らしに近い場所での体験を通じて、捨てるものから生まれる、新しい素材や製品やサービスを選ぶことが、環境を良くする1つの行動になると気づくきっかけになった。

アダストリア、東レ、東レ建設の3社は、今回のワークショップで得られた知見を一つの糧として、今後も「モノとコトの共創」を通じて、ウェルビーイングな社会の実現に貢献していく。


※1 GATHERLIN
集まる、という意味と、布を寄せ集めるという意味をもつ、英語のGATHERをもとに創ったコンセプトワード。人が集まり、美味しいもの、楽しいことを囲み、楽しい時間を共有する機会を大切にしたいという思いを込めている。

※2コスギアイハグ
東レ建設が運営する「農・食・健」複合型のコミュニティスペース
ウェブサイト : https://www.kosugiihug.jp/

※3 株式会社ナチュラ
コスギアイハグ内の飲食店「コスギグリルマーケット」を運営する、川崎市の飲食事業者。野菜染め体験のタマネギの皮を提供。

※4 TFT×nodai
東京農業大学の学生同好会。開発途上国の飢餓と先進国の肥満・生活習慣病の解消という2つの社会課題に同時に取り組む認定NPO法人Table For Twoの東京農業大学の支部として、この理念を実現するための活動を実施。

※5 スタディオクリップ(studio CLIP)
「ちょうどいい暮らし」をブランドメッセージとして、なにげない毎日の中に、ちょっと特別な時間を過ごせるライフスタイルを提案しているブランドです。国内177店舗(2025年3月末時点、WEBストア含む)展開し、30~40歳代の女性をターゲットにしている。

※6 TRUSSAIR™
特殊異型中空糸を使用した東レの繊維素材。橋の架橋や大型の建築に用いられる「トラス構造」を繊維のデザインに応用。「もっと軽く、もっと上品に」をキャッチフレーズとした軽量ナイロンファブリック。

大自然の中で楽しく理科を学べる「青空サイエンス教室2025」を開催

東レ株式会社(以下、「東レ」)と株式会社リバネス(以下「リバネス」)は、小学校3~5年生を対象とした体験型宿泊キャンプ教室「青空サイエンス教室2025」を【関東エリア】(山梨県富士河口湖町)7月31日(木)~8月1日(金)、【四国エリア】(愛媛県大州市)10月4日(土)〜10月5日(日)にて開催※7。この教室への参加者の募集を、2025年5月1日(木)より開始する。


※7四国エリアでの開催は、2026年に創立100周年を迎える東レの周年記念事業の一環として地域貢献を目的とし、昨年は関西エリアとして滋賀県(琵琶湖)で実施した。




「青空サイエンス教室」は、子どもたちが理科を好きになるきっかけの場となることを目指し、小学校3〜5年生を対象に、自然の中での「遊び」を通して楽しみながら理科の原理を学ぶための企画。大自然を教材に子どもたちの「どうして?」「なんで?」をかき立てる好奇心育成コンテンツが盛りだくさんな体験型教室で、いつもと違う青空の下、子どもたちが心の底から理科を好きになるきっかけづくりを行う。全行程には、リバネスより、子ども向けサイエンスプログラム運営に精通した「サイエンスブリッジコミュニケーター※8」が同行。子どもたちに自然体験を通して理科の楽しさを体感してもらい、自ら考える力を身に着けていく。


※8サイエンスブリッジコミュニケーター®:小中高校生向けの実験教室や出前授業などの教育サービスを提供するリバネスが、若手研究者向けの人材育成プログラム「サイエンスブリッジリーダー育成講座」を開き、座学と実地の研修を経て最終面接を通過した人に発行する資格。


2015年からスタートしたこの企画は、変わりゆく社会の変化やコロナ禍においても、子どもたちの「学びをとめない」ため、開催形態を変えながら、より魅力的なコンテンツにアップデート。大自然の中で、思いっきり楽しみながらサイエンスの面白さを体験でき、水浄化実験やロケット開発、素材の不思議体験など、理科が好きになるきっかけとなる楽しいプログラムを通して、人と自然との深い関わりも感じることのできる内容となっている。

近年、日本では子どもたちの理科への興味・関心・学力の低下や、国民全体の科学技術知識の低下、若者の進路選択時の理工系離れといった「理科離れ」が進んでいると言われている。この「理科離れ」により、将来の研究者や技術者が育たず、日本の技術力の低下やものづくりの基盤が危うくなるといった課題が問題視されている。このような状況をうけ、東レでは従来から行っている出張授業などの理科教育支援活動に加えて、宿泊体験型のプログラムとして「青空サイエンス教室」を提案し、JTB、リバネスらとともに企画・開催。このプログラムを通じて、小学生のうちから理科に興味を持って取り組む環境づくりをすることで、その後の理科離れの改善、次世代を担う人材の育成を目指す。