公益財団法人イオン環境財団と早稲田大学が2020年9月に環境総合研究センターに設立したAEONTOWAリサーチセンター。以来、両団体は環境をはじめとした社会課題の解決に向け連携し、5年間の集大成として、里山・森づくり、地域づくり、人づくりの統合プロジェクトであり、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ三社会統合を目指した統合的研究・教育プロジェクトの学生・研究者による報告会を2月11日に行った。


挨拶に立った公益財団法人イオン環境財団理事長であり、AEONTOWAリサーチセンター共同代表である岡田元也氏は、1990年に国内最初の公益財団法人として誕生したイオン環境財団が企業の社会貢献活動に対する機運が高まる中、同財団の創設者であり、現在名誉理事長・イオン株式会社 名誉会長・相談役を務める岡田 卓也氏が環境問題とボランティアにこだわったことに着目。「この里山運動は自然や緑の回復だけではなく、コミュニティを、いかにカタチを変えて復活さていくか、が重要であり、最終的に目指すところであることを強調。そして、この新しいコミュニティは、それを支えるボランティアの自己実現が得られる場となれば持続可能につながる」と訴えた。

早稲田大学総長である田中愛治氏は、早稲田大学創立者 大隈重信氏が掲げた「学問の独立」「学問の活用」「模範国民の造就」という建学の理念を紹介。その中の「模範国民の造就」では「一国の為のみならず。進んで世界に貢献する抱負が無ければならぬ」と述べ、

AEONTOWAリサーチセンターの実践的でアカデミックな取り組みが世界や人類、地球への貢献を目指し、学問に基づいて人材の育成を目指し、たくましい知性しなやかな感性を育成する早稲田大学が目指すものと一致することを強調した。


続いて同報告会ではAEONTOWAリサーチセンターの2024年度の活動報告と共に、5年間の実績を振り返り、イオンの里山の重要な要素として、地域の資源循環や様々なモノやコトのつながりに着目した学生たちの研究活動を発表した。

前半ではイオン環境財団寄附講座「サステナブルコミュニティ論」を受講したメンバーが登壇。それぞれ甲賀市や琵琶湖地域、津山市や真庭市、西粟倉村、綾町エコパークでのフィールドワークで得られた里山や里海のつながり、木質資源と地域づくり、森の循環資源が地域の価値に結実して現状など説明した。後半ではAEONTOWAStudentsからの発案で行われた企画であるローカルフェスタや南栗橋駅前街区におけるシェアリングサービスや商品配送サービス実現に向けて開発された次世代モビリティの取り組みに対する成果、西表島における資源循環の構築に対する研究が報告された。

研究活動の発表に続き、パネルディスカッションではAEONTOWAリサーチセンター副代表の岡田久典氏をファシリテーターにイオン環境財団理事の南川秀樹氏、環境ジャーナリストの﨑田裕子氏、教育テック大学院大学教授の大和田順子氏がパネリストとして登壇。SATOYAMAの自然や関わる人々の協同の仕方や関心を持ってもらう手法、大学の役割などについて議論が行われた。

尚、2月18日にはイオン環境財団が国連大学ウ・タント国際会議場にて「第2回イオンSATOYAMAフォーラム」を開催。京都大学、国連大学、千葉大学、東京大学、東北大学、早稲田大学など新しいSATOYAMAづくりに関して各大学からの事例発表が行われ、ここでも2月11日に行われた学生たちによる研究成果を紹介した。