さて、2025年令和7年は巳年でございます。
巳とは、ご存じの通り蛇。
なぜ蛇を巳と呼ぶか、
それには諸説がありますが、
巳には草木の成長が極限まで達して、
さらに次の生命がつくられ始める時期
という意味があるとのことです。
それを脱皮し、成長を続ける蛇の姿を充てた
ということから巳が蛇になったとの
話を伺ったことがございます。
また脱皮を繰り返すことで
無限の知恵や金運も生む
ともいわれておりますから、
私も、少しはこの巳、
あるいは蛇にあやかりたいと
思う今日この頃でございます。
ところがこの蛇、
残念なことに絶滅危惧種として
東京都レッドリストに指定されているものが
8種類もあるとのことです。
絶滅危惧種とは、読んで字の如く
絶滅の危機に瀕している生物種のこと。
土地の開発や汚染、乱獲や密猟、
水田の減少など蛇を絶滅に追いやる
原因は様々でしょうが、
やはり人間一人一人が見識を深め、
その見識を深めた人間で構成される社会が
世の中の流れを左右していくんだという責任を、
我々は、相手が蛇(ヘビー)なだけに
「重く」受け止めなければなりません。
さて、蛇が登場する落語は
いくつかございますが
その一つが「そば清」。
特技であるそばの大食いで
金儲けの味を覚えた清兵衛さん。
ある日、さすがに食べきれない枚数のそばを
食べなければならない羽目になります。
その大食いは後日にと何とか時間を伸ばし、
たまたま商いで来た信州で
遭遇するのが人を丸呑みにした蛇。
腹が膨れて苦しんでいたが
かたわらに生えていたある草をなめると
腹が元に戻る様子を見ました。
清兵衛さんはその草が
よく効く消化薬だと思い、持ち帰り、
そばの大食いの場で使います。
さて、その結果はどうなったか・・・。
清兵衛さんが持ち帰った草は
食べたものを溶かすんではなくて
人間を丸々溶かしてしまう草だった
というのがオチなんですが、
詳しい話は是非寄席にてご覧くださいませ!
地球の生物多様性を守るためには
我々の社会そのものが
人格的に豊かでなければなりません。
その社会は我々一人一人が
見識を深め自分を見つめ
豊かな人間になる作業なしには
到達し得ません。
あなたにとっての「豊かな人間」とは
どんなご自分でしょうか?
今年は巳年です。
私は今年一年、
一見人に嫌われているようでも
そのジツ慕われてる(舌割れてる)、
そんな人間を目標に頑張ってみます。
正直自分では「舌割れてる」って
二枚舌って意味になるんじゃないかと
心配ですけどね(汗)
本年も何卒よろしくお願い致します。
監修:真打 春風亭 柏枝
【プロフィール】
芸名:春風亭 柏枝(しゅんぷうてい はくし)
本名:菊池貴紀
出身:北海道札幌市
階級:真打
出囃子:筑摩祭
所属:落語芸術協会