アサヒユウアスは、プラスチック素材を資源として有効活用する「plaloopプロジェクト」を7月8日から開始している。第1弾はホテルのアメニティとして歯ブラシを開発し、使用済みの歯ブラシをホテルから回収した後、素材としてリサイクルし、再び歯ブラシなどを製造する取り組み。2024年の目標として年間100万本の導入を目指している。

第1弾ではホテルのアメニティとして歯ブラシを開発し、7月8日からホテル日航つくばに本格導入。ホテルで使用済みの歯ブラシを回収した後、歯ブラシの柄の部分をプラスチック素材としてリサイクルし、リサイクルプラスチックの歯ブラシを製造した。初回製造分の歯ブラシもリサイクルプラスチックを使用。歯ブラシの回収の一部は福祉作業所に担っていただくことで、障がいを持つ方の多様な就労機会の創出にも貢献している。

本年5月からホテル日航つくばで試験的に展開をした際、全設置数の約4割の歯ブラシを廃棄することなく資源化に成功。また、宿泊客を対象にしたアンケート調査では約9割がこの取り組みに対して好意的だということが分かった。ホテルや福祉作業所と連携し、使用済みのプラスチック製品の回収からプラスチック素材へのリサイクル、さらにそのプラスチック素材を使った商品開発・製造・販売を一体化することで、プラスチック資源の循環を促す。今後は歯ブラシだけでなくヘアブラシなども開発し、展開する予定だ。

「plaloopプロジェクト」は本年6月、広島県が主導する「海洋プラスチック対策(プラスチック使用量削減等)・リーディングプロジェクト」にも選定された。今後は広島県内の宿泊施設などと連携し、プラスチック素材を活用した取り組みを推進していく。

使い捨てプラスチック問題は世界的にも大きな課題のひとつ。国内の廃棄プラスチックの総排出量は年間約823万トン。その内、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルなど製品の原料へのリサイクルは約25%に留まり、約62%は焼却した際に発生する排熱を回収し、エネルギーとして利用するサーマルリサイクルによって処理されている。アサヒユウアスは使用済みのプラスチック製品を回収し素材へリサイクルする取り組みを通じて、プラスチック素材の循環活用を促進していく。


※:一般社団法人プラスチック循環利用協会資料「廃プラスチックの総排出量・有効利用量・有効利用率の推移」(2022年実績)より