第9回ジャパンドローンJapan Drone2024 2024年6月5日~6月7日 幕張メッセ
「ジャパンドローン」と言えば、これまで新製品紹介か実証試験のPRが相場だったが、今回はちょっと違う。
「ファンタジーはもういい。ドローンで2024年問題、少子高齢化、人手不足の〝課題3兄弟〟を解決してくれるの?という要望に応えた提案型にシフトしています」と、某大手企業のブース担当者は耳打ち。
要するに「実証から実装」へのギアチェンジだ。
そこで今回は、農業、土木・建築、物流の3分野に絞り、SDGs関連の注目アイテムをピックアップする。
展示会場全景
★炎(ほむら)重工 超小型水上ドローン「Model H-SC」世界最小・最軽量のUSVが誰でも簡単に 港湾・河川土木で活躍の「小さな巨人」
長さ80cm、高さ30cm、重さ6.5kgと、1人で抱えられるのがウリ。昨今はやりの「癒し系AIロボット」と間違えそうだが、実は世界最初・最軽量の水上ドローン(USV)だ。水面をちょこまか動きながら、港湾や河川での建設関連まわりや、漁業・防災関連などの作業で省人化が期待されている。
プロポ(プロポーショナル・コントローラー)の画面を見ながら操縦し、誰でも簡単に使いこなせるのもウリで、もちろん操船免許は無用だ。
★ブルーノベーション屋内点検用球体ドローン「ELIOS 3」 世界初のLiDARセンサー搭載でGPSが届かない屋内でも簡単にドローン点検
同社はスイスのドローン開発企業Flyability社と日本独占販売権を取得。世界初のLiDAR(光による検知・測距)センサーを搭載した、屋内点検用球体ドローン「ELIOS3」を展示。
GPSが使えないトンネルや室内などの保守・点検に威力を発揮、リアルタイムに3Dマップを作成することで自分の位置を把握する。すでに清水建設が酸欠の危険性がある地下施設内や工事中の現場などの点検作業に活用のほか、東急建設や九州電力、ENEOSシステムなども採用。
★菱田技研工業 壁面吸着親子ドローン「ALBATROSS」(7号機) 親機が吸盤で張り付くと、ワイヤで連結た子機が飛び出し作業を開始
「ALBATROSS」は少々変り種。マルチコプター(プロペラ4基)の「親機」に強力な吸盤(吸着グリッパ)を配し、高所の壁面まで飛行してペタリと吸いつくと、機体下部に収納の「子機」が、目的箇所までワイヤで下ろされ作業開始。
電気ドリルによるコンクリート壁面への穴開け作業などに適し、これまで足場構築や人手確保、さらには作業人員の危険性など、「手間・ヒマ・コスト」の大幅削減が見込める。
★ciRobotics 吊り下げドロ-ン「ciDrone TR-22」ポートを設置できない現場に20kgの重量物を吊り下げでピストン輸送
林業作業や電力設備の建設・点検など、森林が広がる山間部では樹木が邪魔だったり、発着用ポート構築が困難だったりが少なくない。
「TR-22」はこれら課題を解決するマルチコプターで、内蔵のウィンチで重量20kgまでの荷物を吊り下げ目的地まで輸送、着地せずに上空でホバリングしつつ、ウィンチを使い荷物を上げ下ろしする。
スキッド部に2本のフレームを設置して荷物の巻き込み防止や、荷物の安定性を保持するほか、荷物が地面に着いたら自然に開く自動開放フックを装備。
★建築研究所/東京理科大学/西武建設「構造物微破壊検査ドローン」
建設業での人材不足に対応したマルチコプター型ドローンだが、自由飛行はせず、壁面の上部と下部を支点に2本のワイヤを張り、これを手掛かりに吊り下げる点がユニーク。
中性化測定器でコンクリート内部の劣化を判断するのが主目的で、目的箇所でドローンを吸盤で吸着・固定し、次に搭載するドリルでコンクリートに穴を開け、同じく搭載の中性化測定器で劣化具合を測定。
ドローンはワイヤ固定なので、操縦用免許は不要。高所作業に必須の足場組立にまつわる「手間・ヒマ・コスト」や、人材確保、作業人員の危険軽減などメリット大。