ノーベル賞選考を行っているスウェーデン王立科学アカデミーの協力のもと、ストックホルム国際水研究所が決定し、世界で最も権威のある水関連の賞「ストックホルム水大賞」に2024年、沖大幹教授が受賞者に選ばれ、国連が定めた「世界水の日」(3月22日)に発表された。


東京大学大学院 工学系研究科  沖 大幹 教授


日本人の受賞は23年ぶり3人目の受賞となる。授賞式は8月に「ストックホルム世界水週間」の一環として、王室による授賞式がストックホルム市庁舎にて、スウェーデン国王カール16世グスタフ国王より授与される予定となる。沖教授は、複雑系の数値モデリングを通じて人間が水、気候、生物圏をいかに変化させているかに関する重要な洞察を提供し、水文学、気候変動、持続可能性の間の結びつき(nexus)に関する理解を大きく前進させる卓越した学識を示した。

沖教授の主な科学的貢献は、水管理と気候変動における重要な変数である「総貯水量」に光を当てた点にある。特に、世界の主要河川のデジタルマッピングである沖教授のTotal Runoff Integrating Pathways(TRIP)は、世界で最も広く利用されており、世界の河川流量を従来よりもはるかに正確に定量化し、さまざまな土地管理や気候シナリオのもとで必要とされる緑の水資源(土壌水分)を明らかにした。グローバルな水収支、仮想水の世界的な流れ、再生可能な水資源量の時空間変動に関する研究への沖教授の卓越した貢献が評価され、今回の受賞となった。