イオンは2月28日(水)、「イオンモール幕張新都心」にてプライベートブランドであるトップバリュ誕生50 周年に関する説明会を開催した。イオンは、1974年トップバリュの先駆けとして『ジェーカップ』を発売してから今年で50年を迎える。今回の説明会ではその歴史を振り返りながら、トップバリュがどのように消費者のニーズに応え、その暮らしをサポートしたいと考えているかなどが商品づくりのこだわりや新商品の紹介を通じて語られた。

説明会の様子

変わらないのは「お客さま視点」の商品づくり

説明会ではイオン㈱ 執行役副社長商品担当 兼イオントップバリュ㈱ 代表取締役社長 土谷美津子氏、イオントップバリュ㈱ 取締役 商品開発本部長 髙橋幹夫氏、イオンリテール㈱住居余暇本部 ホームコーディ商品 部長 小河豊氏、イオンリテール㈱衣料本部 キッズリパブリック統括部長 仲野滋氏4人が会見した。

写真左より、 土谷美津子氏、髙橋幹夫氏、小河豊氏、仲野滋氏



土谷氏はまず、トップバリュの原点となる1974年の状況を振り返った。当時は前年のオイルショックにより、消費者物価指数が約25%上昇。イオンの前身であるジャスコは2ケ月間にわたり、生活必需品41品目の値下げと価格を据え置き、同時にメーカーによるカップラーメンの一方的な値上げへ抗議し、販売中止に踏み切って開発・発売したのが85円の『ジェーカップ』であったと説明した。そこにあったのは低価格という消費者の声を反映させるためのフォークを省くといった工夫であることを強調。ブランドマークや呼び方が変わっても1974年の原点から変わらないことは、「お客さま視点」の商品づくりであることを訴えた。

2023年、主な取り組みとしてはTOPVALUについては商品開発力の強化、グリーンアイではイオンの姿勢そのものである環境に対する考え方を反映し、オーガニックでは国内市場のシェア約12%を占めるまでに拡大したこと、ベストプライスについてはインフレ下での生活者応援のために値下げや増量企画を実施したことを報告した。

また消費者の動向については、価格以上の価値を思えるコスパの良い商品を選び、流行に左右されず、長く使えるものや多少価格が高くても質の良いものを選ぶ傾向にあることを指摘。それらを視野に入れながら2024年度の取り組みについては、2023年を継承しながら、お客さまがもっと「ワクワクする」商品を創造し、“トップバリュがあるからイオンにいく”という商品をつくり続けたいと語った。そして、「もったいないをおいしく!」をキャッチフレーズに食品廃棄物やロス削減に向けた商品開発を強化。さらにM・Z世代に特化した商品開発も加速していきたいと話した。

会場でのプライベートブランドに関する展示

様々な新商品が2024年も登場

髙橋氏は50周年企画として登場する新商品を紹介。『大分県別府風冷麺』、『山口県瓦そば風焼き茶そば』、『岩手県盛岡風冷麺』などイオングループ従業員22万人の声から誕生した商品を挙げた。また生産者とその食材を盛り上げていく『宮古島産早採れ糸もずく』や各地域の食材を用いた『ご当地コロッケ』に加え、MZ世代にフォーカスした食品や10分で料理ができる「シーフードワンパン料理」などの魅力を語った。さらに環境にやさしいグリーンアイの新商品にもクローズアップ。すべてがオーガニック素材の『国産青汁』や『オーガニック冷凍野菜』にふれ、リサイクル原料50%使用のマイバッグ、リサイクル原料30%使用の保冷バッグなどについて説明した。

小河氏からはトップバリュの住関連商品を一つのブランドとして統一したホームコーディについて説明。“ここちよさを、デザインする”というコンセプトでリブランディングされるステンレスボトルやウォーターピッチャーなど猛暑に対応する商品について語った。

仲野氏からはイオンが提案するランドセルシリーズ『かるすぽ』の新商品紹介があった。

一人ひとりも社会全体もより豊かにするブランドであること

トップバリュが築いた半世紀の歴史は、「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」というイオンの企業理念そのものを具現化する歴史と捉えることもできる。そして、そこには“一人ひとりも社会全体もより豊かにする”というビジョンが反映されている。

たとえばトップバリュの一つであるグリーンアイは、オーガニックという言葉がまた浸透していない1993年に有機栽培をはじめ、農薬や化学肥料を可能な限り使用しない農産物を中心とした商品の提供からスタートした。オーガニックは、健康に良いと同時に地球温暖化の緩和や生物多様性の保全にも効果が期待される。イオントップバリュの代表取締役社長 土谷氏は、今回の説明会でトップバリュの社会的役割を「人にやさしいこと、そして、環境問題や人権問題への取り組みを地道に継続していくところにある」と語っていた。その言葉の通り、人と社会と地球を分かつことなく視野に入れ、そこからブレないこのブランドの歩みを今後も追い続けていきたい。


(取材・記事 宮崎達也)