日本生活協同組合連合会が2月6日記者会見を行い、業績見込みや、重点施策の進捗状況などについて説明を行った。
代表理事会長 土屋敏夫氏は、生協による能登半島地震での現地での復興活動を紹介した後、ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナガザ地区戦闘状態にふれ、さらに草の根からの交流を広げ、平和と核兵器廃絶に貢献していきたいと語った。また国内に目を向ければ人口減少や貧困格差の拡大、長期化するインフレによる暮らしへの影響も懸念される中、社会的責任を果たし、組合員の暮らしのニーズに応え、次の世代を担う若者に協同組合を知っていただく取り組みを広げたいと抱負を話した。
代表理事事業担当専務 藤井喜継氏は23年度業績見込み、および今後の活動方針に加え、「DX-CO・OPプロジェクト」の進捗と新たな施策、日本生協連、全国生協の社会的取り組みの進捗および「令和6年(2024年)能登半島地震」の被害に対する支援等について報告。その中で宅配事業については温室効果ガス削減のため、省エネや再エネへの切り替え、低炭素型自動車への切り替えなどを実施し、2023年12月現在で会員生協保有のEV 車(軽自動車・軽バンなど)は289台であり、今年度(4月~10月末)導入は83台となると述べた。また、宅配車両でのEVトラックを実験導入し、水平展開に向けた効果検証を実施。現在3台実験中で、24年度中には7台まで増やす予定であることを紹介した。
次に藤井氏はエシカル消費対応商品の供給に言及。23年度供給高(売上高)見込みが推計2570億円(前年比113%)になり、既存商品の容器包装問題への対応が進み、エコマーク認定商品(前年比128%)とFSC認証商品(前年比114%)の供給金額の伸長していることを説明した。さらに生鮮用の厳格な規格に沿わなかったバナナ原料を使用することでフードロスに貢献する「完熟バナナのたまごパン」などを昨年9月より発売開始したことを紹介。こういった食品ロス削減商品も2024年度からは新たにエシカル消費対応商品になるため、エシカル消費の需要がより一層拡大していくことになると話した。
さらに環境や社会に配慮した主原料を使った商品に、共通のロゴマークを付加し、シリーズ化した「コープサステナブル」商品も2023年度末で228品まで展開商品が増加。各種プラスチック問題対応においては、生協で回収したPET ボトルをコープ商品の軟包材にリサイクルする取り組みを2023年度に拡大し、ファミリーチョコレートなどの大型商品でも再生利用の取り組みを開始したことを報告した。他にも、PET飲料販売本数1 位の「ハト麦入りさわやかブレンド茶」が再生プラスチックを100% 使用したPETボトルとするなど、プラスチック問題対応を加速。再生・植物由来プラスチックへの切り替え商品は、2024年度2月末時点で889品に到達したことも伝えた。
そういった様々な取り組みの中で日本生活協同組合連合会は、第一回フェアトレード・ジャパンアワードにおいてセールス部門 シルバー賞を受賞。第24回グリーン購入大賞においても大賞・環境大臣賞に輝いたこと紹介し、そのサステナビリティ政策が様々な面で評価された1年だったと語った。
そして2024年度は、重点課題に「くらしの危機」「人材確保の危機」「事業の危機」「SDGsの危機」という4つの危機への対応を掲げ、「SDGsの危機」については、生協が本来、「助け合いの組織」であることを確認。誰一人取り残さない取り組みの輪を広げ、2030環境・サステナビリティ政策の着実な前進に取り組みたいと述べた。