JCIは1月30日にウェビナーを開催した。そこでは昨年アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにて開催されたCOP28(気候変動枠組条約第28回締約国会議)を振り返り、今後取るべきアクションについて考え、議論。COP28での交渉結果や今後日本に求められる政策、進むべき道筋について解説。COP28に赴いたJCIメンバーの現地での活動や2025年に向けたアクション、政策についても語られた。

冒頭に挨拶を行ったJCI共同代表 末吉 竹二郎氏は、COP28 に参加し、日本と世界との間に広がる格差にあらためて強い懸念を抱いたと述べた。そして、石炭火力への段階的廃止への扉を自ら閉じ、G7の中で取り残されている日本の対応を厳しく批判。ノンステートアクターの立場で気候変動に関する社会課題を解決するために、政治を動かすための提言を行うJCIのアドボカシー活動を高く評価し、その取り組みの強化を訴えた。

「COP28の交渉結果と今後の⽇本への⽰唆」と題して登壇したWWFジャパン⾃然保護室⻑ ⼭岸尚之は、COP28の主要な結果として化⽯燃料からの転換への合意、損失と損害基⾦の運⽤化に合意、適応に関するグローバル⽬標の枠組み(フレームワーク)に合意を挙げ、国際的な炭素市場 炭素クレジットに関するルールについては、合意が得られず、先送りになったことを説明した。そして、今回のCOPでは化石燃料からの決別が盛り込まれ、“化石燃料時代の終わりの始まり”となったことを報告。「日本には化石燃料からの転換をNDCに反映させていくという重要な宿題が与えられた」と述べた。

公益財団法⼈ ⾃然エネルギー財団 シニアコーディネーター ⾼瀬⾹絵氏は、「再エネ3倍の合意を受けて2030年、2035年に向けて再エネを増やすために」をテーマに、COP28 最終合意文書にある「世界の再エネ容量3倍、エネルギー効率向上2倍、対策済みでない石炭火力の段階的廃止を加速」に言及。それが今ある技術で十分に対策が進められ、再エネ3倍は世界の常識であることを強調した。そして「日本やアジアは再エネ資源がない?」「再エネは変動するから化石燃料のバックアップが必要?」「再エネは高い?」といった再エネに関する誤解にクローズアップし、再エネには日本もアジア諸国も、年間需要の10倍以上のポテンシャルがあること。予測でき、うまく組み合わせ、かつ「安いときに使う」仕組みで需要は動き、蓄電池も使えること。供給コストではすでに安くなっていることを説明した。

気候変動イニシアティブ 共同代表加藤 茂夫氏は「JCIカーボンプライシング提言の進捗」について報告。その趣旨が第7次エネルギー基本計画・次期NDCに向けて、GX推進法の中で提言内容の政策への落し込みを狙ったものであることを強調し、昨年JCIが昨年12月5日にはCOP28 会場にて伊藤環境大臣をはじめ、世界のステークホルダーに発信したことを紹介した。

そして、12月25日には日本政府へ直接提言。経済産業省との意見交換を2月に実施予定であると述べた。また「国内外のルールのギャップ」「公平性や導入時期の遅れへの懸念」などメンバー企業から聞かれた意見を紹介し、提言への賛同と行動への参加を呼び掛けた。

「COP28参加 JCIメンバーに聞く今後のアクション」と題したパネルディスカッションでは、実際にCOP28に参加したメンバーから現地でどのような活動や気づきがあったか、などが語られた。