顔の見えるライフスタイル」の実現を目指す株式会社UPDATERは、アフリカ・タンザニア連邦共和国において太陽光発電を導入する事業「 Pole Solar(ポレソーラー)」の実証実験を開始したと11月27日発表した。同事業は、タンザニアの強みである農業を活かしながら、地域のパートナーと一緒に事業を育て、地域全体の持続的な発展を目指す。今回試験事業としてリユースの20kW太陽光パネルを日本から輸送、農村部のトウモロコシ加工工場に設置し電力の供給を開始した。

タンザニアは東アフリカに位置しており、面積が非常に広く、多様な地形や自然環境を有している。経済面では、農業が主要な産業となりながら、近年、鉱業やエネルギー、観光、農業などの分野で外国企業からの投資が増加しており、JETROによる調査※1でも今後の注目国として名前が上がっている。

しかし、タンザニアには都市と地方の格差が広がっているという問題もあり、600万人が安定した電力へのアクセスがない生活を送っており※2、未電化や停電により大きな機会損失が起こっている。

一方、タンザニアは日照時間が2,800~3,500時間(日本の全国平均:1,978時間)で、日射量も日本の2倍近くあるため、太陽光発電のポテンシャルが十分。アフリカ全土で太陽光発電の開発が進んでいるが、農村部までは十分に届いていないという現状や、個人で太陽光パネルを設置しようとしても金銭的に不可能である現状がそこにあった。

Pole Solar事業を通して農村部の未電化・停電が多い地域において太陽光パネルを設置することで、安定的な電力供給を実現し、産業の基盤をつくることが可能になる。また電化により経済活性化、雇用創出、人々の購買力増加というサイクルを生み出し、農業というタンザニアの基幹産業を育てながら、地域と共に持続可能な発展を目指すことができる。

今回、パイロット事業として農村部であるムベヤ州 Iwindi村にあるトウモロコシ加工工場に20kWの太陽光パネルを設置し、オンサイトPPAモデルによる電力供給契約(Power PurchaseAgreement)を締結し、今回電力の供給を開始したトウモロコシ加工工場では、電化により工場の生産性向上や農家の収入増加につながるだけでなく、工場が人の集まる産業拠点となることで、トレーニング拠点としての役割やコミュニティ形成も担うことができる。今後は、1つの村における本パイロット事業による実証を経て、1つの州内のすべての村における展開、さらに都市部を除いた農村部30の州への展開と広げていく予定だ。



※1「2022年度海外進出日系企業実態調査|アフリカ編
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/491096dd64da47ff/20220041rev1.pdf
※2Access to electricity (% of population) – Tanzania 39.9%(2020)
https://data.worldbank.org/indicator/EG.ELC.ACCS.ZS?locations=TZ