パートナーシップを組んだ6社トップがSEP共同保有の決意を語る

10月3日、戸田建設㈱、㈱熊谷組、西松建設㈱、若築建設㈱、岩田地崎建設㈱、㈱吉田組の6社は洋上風力施工船舶の保有等を目的とした会社Jack-up Wind Farm Construction㈱(以下、JWFC)を 2022 年 3 月に設立。15MW級超大型洋上風車の建設に対応でき自己昇降式作業台船SEP(Self  Elevating  Platform)を保有し、2025年4月、日本へ曳航予定であることを発表した。記者会見では6社の代表が大要、以下のように挨拶した。

戸田建設㈱ 代表取締役社長 大谷清介 氏

世界の各地は日本も例外ではなく、今まで経験したことのないような異常気象に直面している。こうした地球温暖化が引き起こす課題に真摯に向き合うために私たち6社は協力して持続可能な未来を切り開く取り組みに対応していく。戸田建設においても気候変動への対応が重要課題という認識を社内で共有し、様々な再生可能エネルギー施設の建設や運営に取り組んでいる。

さらにJWFCに参集いただいた5社の皆様と市場規模が拡大する洋上風力発電の建設にも貢献してまいりたい。そして地球温暖化という課題に真摯に向き合い再生可能エネルギーの普及促進に全力を尽くしていきたい。そして、強いパートナーシップを築き、シナジー効果を発揮し、再生可能エネルギー事業、脱炭素化への取り組みを通し、社会に貢献してまいりたい。

戸田建設㈱ 代表取締役社長 大谷清介 氏

㈱熊谷組 代表取締役社長 櫻野泰則 氏

当社では、これまで再生可能エネルギー分野におきまして、洋上及び陸上風力をはじめ、太陽光、水力、バイオマス、地熱発電において工事施工を担い、太陽光では国内及びベトナムに設置しきた。洋上風力施工船舶の共同保有により、いよいよその取り組みが本格化する。ゼネコン、マイコンの枠を超えた6社が戦略的パートナーシップを組み、日本が目指す2050年カーボンニュートラルの実現へ貢献していくために全力で取り組んでいく。

㈱熊谷組 代表取締役社長 櫻野泰則 氏

西松建設㈱ 代表取締役社長 高瀬伸利 氏

弊社では「安心して暮らせる持続可能な社会をつくる」という企業理念のもと、一刻の猶予も許さない気候変動という課題に対し、カーボンニュートラルへの取り組みを重点に加速させている。そのような中、このJWFC社に参画させていただき、洋上風力発電施設の建設に取り組む機会を持て、大変光栄に思うとともにぜひとも成功させたい。そのためには6社が技術力と知見を結集させることが重要であると考えている。

西松建設㈱ 代表取締役社長 高瀬伸利 氏

若築建設㈱ 代表取締役社長 烏田克彦 氏

若築建設は1890年、北九州の若松港を築造・運営するために設立・創業した。再生可能エネルギーについては東日本大震災以降、この分野に非常に注力し、陸上では風力発電、バイオマス、小水力、太陽光といった様々な再生可能エネルギー事業に参画させていただいている。この度、JWFC社の一社に入れていただくことができた。我々が築いてきた海洋土木の技術と経験をいかんなく発揮し、JWFC社の発展と社会貢献に尽力していく。

若築建設㈱ 代表取締役社長 烏田克彦 氏

岩田地崎建設㈱ 代表取締役社長 岩田圭剛 氏

弊社が拠点とする北海道は洋上風力発電のポテンシャルが大変大きく、政府が掲げます2040年導入目標の約3分の1を担うことが想定されている。今回の洋上風力市場への取り組みは、弊社の中期経営計画に定めた「自然エネルギー環境分野への貢献」の実現にむけた具体的な第一歩と捉えている。心強い構成員の皆様とともにその歩みを進めてまいりたい。

岩田地崎建設㈱ 代表取締役社長 岩田圭剛 氏

㈱吉田組 代表取締役社長 壺阪博昭 氏

大型風車の組み立て設置が可能なクレーンを搭載した洋上風力施工船舶の保有は当社の念願といえる。当社は海洋工事のための作業船を多数保有し、様々な大型プロジェクトに参画してきた。また浮体式洋上風力の組み立て設置に際しましては福島、ひびき灘、五島において経験している。本船の運航また風車の組み立て・設置等の施工の立場から全力で協力させていただたい。

㈱吉田組 代表取締役社長 壺阪博昭 氏

SEP船保有で期待が高まる洋上風力発電施設の増加

共同保有が決まったSEP船は130mの長いレグを持ち、大水深域(~60m)へも対応できる能力を持つ他、非自航船でありながらDPSスラスター6基搭載することでアンカーや他船に頼らず定点保持や任意な移動もでき、気象・海象条件の悪い海域でも安定した位置保持が可能となる。

9月8日には中古SEP船の調達を終え、現在、引き渡しに向け、1300t吊クレーン搭載改造に向け準備が進められている。一切の工事完了は2025年4月を予定している。中古SEPを改造していることで安価でSEPを提供できる点も魅力の一つだ。

洋上風力発電施設の設置では以前から国内では数少ないSEP船の建造が求められていた。海外のSEP船を国内で使うには日本船籍に転籍する必要がある他、地元や他国でも需要が高いため、必要な時に用船できるかどうかが懸念されるからだ。

今回、JWFCが同船を共同保有することで着床式及び一部浮体式洋上風力発電施設の大型風車の基礎施工や風車組立作業が円滑に行え、今後、洋上風力発電が加速していくことに期待がふくらむ。

設立会社概要

1)商号:Jack-up Wind Farm Construction(株)
2)資本金:1億円
3)出資会社:戸田建設㈱、㈱熊谷組、西松建設㈱、若築建設㈱、岩田地崎建設㈱、㈱吉田組
4)所在地:東京都中央区八丁堀2-8-5
5)代表取締役:山田 正敏 (戸田建設㈱)
6)設立:2022 年3 月14 日
7)事業内容:

① 船舶・建設設備等の保有・運用・リースに関する事業
② 洋上風力発電施設等の施工に関する事業
③ 海上輸送に関する事業
④ 洋上風力発電施設等の維持管理・メンテナンスに関する事業

調達したSEPの仕様

主な特徴
船名:(仮称)JWFC SUNRISE
元オーナー:TERAS SUNRISE(シンガポール)
設計:GLOBAL MARITIME(ノルウェー)
建造:ASL Shipyard(現PaxOcean)(インドネシア,バタム)
建造年:2014年
搭載クレーン:750t吊 ⇒ 1,300t吊搭載予定
稼働⽔深:最大64.5m(レグ長 約130m)