2023年6月19日、ウォルト・ディズニー・ジャパン(本社・港区、キャロル・チョイ社長)は、国立成育医療研究センター(世田谷区、五十嵐 隆理事長)に、ディズニーの人気キャラクターなどコンテンツ関連を提供、治療に挑む子供たちに安らぎと楽しいひと時を与える大規模プロジェクトを展開する。なお同センターは国内唯一の国立高度専門医療研究センターで、小児・周産期・産科・母性医療を専門とする、いわゆる「こども病院」では国内最大規模。「ディズニーのこども病院イニシアチブ」と呼ばれるもので、プログラムは次の5つからなる。

(左)通路の壁に飾られたディズニー・キャラクターたちが子供たちに勇気を与える(右)処置室にも美しい壁紙を配置

1、アプリと連動して楽しめるインタラクティブな壁紙

採血室・人工透析室/外来中央処置室に向かう廊下にディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズの人気キャラクターをあしらった壁紙を配置。全長は約80mにも及び、『イッツ・ア・スモール・ワールド』の世界観を意識した、世界にここだけの壁紙も用意、ディズニーの没入感を体験できる。また一部の壁紙に専用アプリをDLしたスマホやタブレット端末をかざせば、インタラクティブなVRの体験も可能だ。

『イッツ・ア・スモール・ワールド』をモチーフにした、世界にここだけにしかない壁紙

2、公式動画配信サービス「ディズニープラス」の放映

各所に設置されるモニターや後述の「モバイル・ムービー・シアター」で「ディズニープラス」のコンテンツを楽しめる。

待合室のモニターでもディズニー映画が楽しめる。ちょうどピクサーの『トイ・ストーリー』を上映中。

3、日本初導入の「モバイル・ムービー・シアター」

1階の遊戯スペースに移動式のミニ・シアター風モニターを設置。この取り組みはすでに米国内で行われ、今年から世界中のこども病院に展開中。

4、スタッフバッジ

ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズの〝推しキャラ〟やお馴染みのメッセージを記したバッジで、医師や看護師、スタッフなどがつけることで、コミュニケーションづくりをサポート。全16種を用意し、ちなみに同センター病院長の笠原群生(むれお)氏は映画『スター・ウォーズ』シリーズの「ヨーダ」。

5、スターライト製ディズニーデザインの病衣

病気と闘う子供たちを支援するNGO団体「スターライト・チルドレン・ファンデーション」とディズニーが協力して制作した病衣。闘病中の子供たちが快適さと「好きな衣服を選ぶ」という楽しみを提供するのが狙いで、子供たちに人気の高いディズニー・キャラクターのデザインになっている。

この取り組みは2018年から米国内で開始、2023年には日本の他、フランス、シンガポール、台湾のこども病院にも提供する。同日には同センターでオープニングセレモニーを開催、ミッキーマウスが式典に突然現れるというサプライズに、式典に集まった子供たちやその家族は大喜び。

参列したチョイ氏は「私たちのキャラクターや物語が、喜びや勇気を与えてくれることを目の当たりにして来ました。このセンターで子供たちとご家族が、特に困難な時期に安らぎと楽しいひと時を得られるように、ディズニーのキャラクターや物語をお届けできることを光栄に思います」とコメント。

また、この取り組みを全面サポートする認定NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」専務理事の福島慎吾氏は、「病院という制約の多い空間の中で、辛い治療や検査に対し不安や恐怖を感じる子供さんやご兄弟、ご家族に、安らぎや勇気、希望などとてもポジティブなメッセージを与えてくれる、『家族の力』をエンパワーメント(力を与える)するという意味で、とても意義があると改めて感じました」とその効果を強調する。

セレモニーにはミッキーマウスが突如参列のサプライズも。
向かって後段左、ミッキーマウス の隣から、 キャロル・チョイ・ウォルト・ディズニー社長、
福島慎吾・難病のこども支援全国ネットワーク専務理事、笠原群生・国立成育医療研究センター病院長、嶋田せつ子・同看護部長



笠原氏も、「病院は『少し怖いなあ』『ちょっとしんどいなあ』『痛かったらいやだなあ』という思いがあると思います。この壁紙で『痛い』『怖い』といったネガティブな感情が、病院に行くと、『ちょっと楽しいことがあるな』『ディズニーのキャラクターに会いに行こう』と、少し勇気を持ってディズニーの物語を想像しながら、採血など検査に耐えられるのではないかなと思います」と期待する。

同社はこの取り組みをCSR・SDGs戦略の柱の1つと位置付けており、この事例を皮切りに今後全国各地のこども病院に対しても同様のプログラム提供を進める方針だ。

(取材・文 深川孝行)



Walt Disney Japan is launching a large-scale project in collaboration with the National Center for Child Health and Development in Japan.
The initiative, called the “Disney Children’s Hospital Initiative,” aims to provide comfort and enjoyable experiences for children undergoing treatment.
The project includes interactive wallpapers featuring popular Disney, Pixar, Marvel, and Star Wars characters in the hallways leading to treatment rooms.
There will also be a mobile movie theater, where children can watch Disney+ content, and staff members will wear badges with Disney characters to foster communication.
Additionally, special Disney-themed hospital gowns and a collaboration with the Starlight Children’s Foundation will offer children battling illnesses the opportunity to choose comfortable and enjoyable clothing.
The program will be expanded to children’s hospitals nationwide in the future.
The project hopes to alleviate children’s fears and provide them with a positive and empowering environment during their medical journey.