今や「SHIBUYA」としてインバウンド(訪日外国人)にも大人気の東京・渋谷がさらに〝拡大〟、「緑の都市」に変貌するという。渋谷を拠点に構える東急グループは現在、この街の「100年に1度」の超大型改造計画を推進中だが、2023年5月30日その最新情報発表会が東急(本社東京都渋谷区、髙橋和夫社長)と東急不動産(本社同、星野浩明社長)の両社によって開催された。

説明会に臨む、東急渋谷開発部長・坂井洋一郎氏(左)、東急不動産都市事業ユニット渋谷開発本部執行役員本部長・黒川泰宏氏(右)

2012年開業の超高層ビル「渋谷ヒカリエ」を皮切りとした同計画は2023年度からいよいよ第2フェーズへと突入。「Greater SHIBUYA 2.0」と銘打ち、渋谷駅から概ね半径2.5km圏内にある原宿、表参道、恵比寿、代官山、中目黒、池尻、松濤など近隣の著名・オシャレな街もエリア内に引き入れた〝広域都市圏〟の構想を披露した。これらの街は
●集積:循環型ファッション、新しいカルチャーの発信、グローバル・スタートアップ育成
●発信:次世代カルチャー発信、デジタル
●集積:事業開発プラットフォームの3要素からなる好循環型の「リング」
で有機的に連携させていくのがキモだ。



第2フェーズで建設中の施設の中で、「脱CO2」関連で特に注目なのが2つ。1つ目は東急が手掛け、渋谷駅東口エリアに2024年度上期開業予定の商業ビル「渋谷アクシュ(SHIBUYA AXSH)、そして2つ目は東急不動産が建設し、原宿エリアに同じく2024年春にオープン予定の商業ビル「東急プラザ原宿(ハラカド)」。

「渋谷アクシュ」は高さ約120m、地上23階/地下4階で、渋谷と青山とを直結する導線的役目も果たす意味も込めて「AXSH(握手)」と命名されたが、特筆はビル内に植物をふんだんに盛り込んだ点だろう。「connecting FOREST」と名付けられた、建物の中にも自然環境の要素を取り込み、一体的に緑をつなぐコンセプトを導入。エネルギー施策にも熱心で、渋谷エリアの超高層ビルとしては初めて、オフィス部で「ZEB Ready」認証を取得。同認証は従来建物と比べて必要なエネルギーを50%以下に削減することが評価基準で、同ビルでは50%以上の一次エネルギー消費量削減をクリアできるという。

一方「ハラカド」は神宮前交差点の新しいランドマークとなる施設で、地上9階/地下1階、アートやデザイン関連ベンチャーが入居し多くのクリエイターが集う情報発信地として期待されており、地階には銭湯も設けるというアイデアが斬新。特筆は屋上の植樹にことのほかこだわった点で、表参道の街路樹や代々木公園・明治神宮など周辺の緑との一体性を特に重要視、シュロ系のトロピカル植物が多いのも特徴的だ。東急グループが進める「Greater SHIBUYA」は「緑」をキーワードにさらに周辺へと拡大していく模様だ。

建設中の「ハラカド」屋上部分。南国風の植栽が何とも印象的



(取材・文 深川孝行)