ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社はディズニー映画最新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022年12月16日世界同時公開)を記念して、2022年12月8日に沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)で、「Keep Our Oceans Amazing(私たちの素晴らしい海を未来に残そう)」特別講座を実施した。

全国の劇場で公開中 © 2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

「海」をモチーフにした本作品を通じて、海洋自然保護のための「気づき」を促す活動の一環で、地元・本部小学校の6年生90名を招待。講師は「サメ教授」として著名な同水族館統括の佐藤圭一氏が務め、「タイマイ」「マンタ」「ジンベエザメ」のサメ3種に関する内容の濃い〝授業〟が行われ、生き物好き芸人のココリコ・田中直樹氏をサプライズ・ゲストに呼ぶエンターテインメント性に富んだ〝仕掛け〟も抜かりない。

今年創業100周年の大きな節目を迎える親会社、ウォルト・ディズニー・カンパニーは、以前から自然環境保護などSDGsへの取り組みを地球規模で積極展開するが、日本支社主導で海洋環境保護の活動を本格展開するのは実は初めて。持ち前の「エンターテインメント」を絡めた斬新なアプローチは各方面の耳目を集めている。

同社は2023年2月、同特別講座の報告も兼ねたラウンドテーブルをメディアも交えて開催、公益社団法人日本動物園水族館協会(JAZA)事務局長の岡田尚憲氏や前述の佐藤氏、サンメッセ総合研究所(Sinc)代表の田中信康氏が出席して、水族館とディズニーとの共創による海洋環境保護への可能性について意見交換した。

岡田氏は、「残念ながら名古屋議定書の進捗状況を関連省庁などに聞いても『進んでいませんね』という話になり、2022年12月7日~19日に開催のCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)に関しては、環境省のWebサイトに行かなければ出ていませんし、一般の人たちには分かりにくい。国民にアピールするためにも、JAZAが省庁と国民との間に入って嚙み砕いて発信し、動物園・水族館を通じて我々のHPを訪れた人たちに自然環境や生物多様性の実態を伝えたい」と啓蒙活動に関するJAZAの役割を語る。

また佐藤氏は、「(特別講座は)今までにない試みで、地域の子供たちにとっては住んでいる町をどうするかを考えるいい機会となった。沖縄の海はゴミ問題、北海道では温暖化による魚種交代が深刻で、実は海洋の浮遊ゴミ問題は局所的で理不尽な思いがする。大半の人は水族館を『観光施設』と捉えているが、ここから社会に対してメッセージを伝えたい。その意味で『アバター』を通しメッセージ性のある特別講座ができたことは素晴らしく、異業種の人とのつながることでぐっと間口が広がった」と手応えを感じている。

最後に同社コーポレート・コミュニケーションズ・エグゼクティブ・ディレクターの秋月希保氏は、「エンタテインメントが根幹にあるので、次世代的に『楽しく学びながら』、というよりは、エンターテインメントを通じて『気づけば学べた』ということで、これはウォルト・ディズニーの名言でもあり、まさにそこにポイントがあるのでは」と締めくくった。

同社はこれを機会に環境保護に関する活動に注力していく模様だ。