東レ株式会社(以下「東レ」)は、フジサンケイグループが主催する第30回地球環境大賞において、「『炭化水素系電解質膜』を開発し、グリーン水素のコスト低減に貢献」の取り組みが評価され、「日本経済団体連合会会長賞」を受賞した。東レの地球環境大賞における受賞は、第24回の「経済産業大臣賞」受賞以来、2度目となる。

東レは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、国内初のメガワット級、固体高分子 (PEM)型水電解技術の開発・実証などに取り組んでいる。2016年から、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業として、山梨県、東京電力HDと共同で、山梨県甲府市米倉山で行った太陽光発電から水素を製造するP2G(パワー・ツー・ガス)システム開発・実証では、東レが開発した炭化水素系電解質膜を用いることで、従来のフッ素膜に比べ同じ電圧で膜面積あたり2倍の水素を製造できることを実証し、将来のグリーン水素コストの低減に大きく貢献することが期待されている。
 また、2021年6月からは、全国に先駆けて、山梨県内の半導体工場やスーパーマーケットへ再エネ由来グリーン水素の供給を開始している。このような水素社会・カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みが評価され、今回の受賞に至った。

東レは2018年に策定した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」において、優れた先端素材の力で、2050年に「地球規模での温室効果ガスの排出と吸収のバランスが達成された世界」などを目指すことを宣言し、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決を通じて、社会に貢献することを目指している。今後も、独自の炭化水素系電解質膜により水電解装置を高性能化し、現在の化石燃料に匹敵する水素コストの実現とグローバルなグリーン水素サプライチェーン構築に貢献することで、カーボンニュートラル社会の実現を目指していく。

「地球環境大賞」について

「地球環境大賞」は1992年に「産業の発展と地球環境との共生」を目指して創設されました。企業、行政、市民が一体となった顕彰制度で、公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン、名誉総裁・秋篠宮皇嗣殿下)の特別協力を得ている。

地球温暖化の防止、循環型社会の実現に寄与する新技術・新製品の開発、環境保全活動・事業の促進、21世紀の社会システムの探求、地球環境に対する保全意識の一段の向上を目的としており、国際連合が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の理念とも一致した取り組みとなっている。