2021.10.12
東レ株式会社(以下「東レ」)は、軟包装材印刷専用版材IMPRIMA™FRを開発し、10月に上市する。同製品は、市場の拡大が続く軟包装材の印刷に適用するもの。CO2排出量を大幅に低減できることから軟包装材のカーボンニュートラルに貢献できるだけでなく、印刷品質向上や、印刷コスト低減にも寄与する。
東レ 水なし平版®(欧州ブランドIMPRIMA™)は、印刷時に揮発性有機溶剤を含む湿し水を使用しないことや、製版時にアルカリ現像廃液を排出しない事から、環境に配慮した製品として広く認知され、世界50ヶ国、1,500社以上の印刷会社で使用されている。
今回開発した軟包装水なし印刷システム専用版材IMPRIMA™FRは、東レ独自のナノ構造制御技術と界面制御技術を駆使することにより、高精細できれいなグラデーションを実現。また一般的な軟包装印刷方式に比べて、版材コストが安価で、印刷コストの低減にも繋がる。
IMPRIMA™FRを使用した軟包装材
軟包装材とはフィルムを使用した包装材で、食品包装等に採用されている。軟包装材の印刷には、グラビア印刷1)、フレキソ印刷2)が主に採用されているが、有機溶剤を含むインキを大量に使うことから、有機溶剤の熱乾燥や、廃ガス処理によるエネルギー消費やCO2排出の削減が大きな課題となっている。そこで、有機溶剤を含まず、EB(電子線)やUV(紫外線)など低エネルギーで硬化するインキを使用したオフセット印刷3)への転換が進行している。
IMPRIMA™FRを用いた軟包装水なしEBオフセット印刷システムのCO2排出量は、日本印刷産業連合会「プラスチック製容器包装」算定基準(PCR)PA-BC-02を参考にした同社試算で、グラビア印刷対比1/5以下、フレキソ印刷対比1/3以下まで削減可能であることを確認した。また、EB硬化インキを採用する事で、食品包装で規制が厳しくなっている使用物質リスト規制にも適合している。
東レは「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」や、長期経営ビジョン”TORAY VISION 2030″の中で、事業活動を通じて地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献することを表明。今後も、先端素材とプロセスの開発を継続し、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいく。