• あいおいニッセイ同和損保
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 国内有数の保険グループであるMS&ADの中核事業会社の「あいおいニッセイ同和損害保険株式会社」を取材した。
 同社は、中期経営計画「AD Vision 2021」において、「先進性」「多様性」「地域密着」の追求を掲げ、「特色ある個性豊かな会社」の確立に向け、部門横断プロジェクトを推進している。
 今回は、部門横断プロジェクトの一つである「地方創生」プロジェクトオーナーの専務執行役員吉田靖之氏にインタビューした。プロジェクトオーナーとしての思いを熱く語って頂いた。

SDGsを道標に課題解決取組みを進める

 当社は、行動指針の一つに「地域密着」を掲げ、従来から、地域社会への貢献活動などに取り組んできました。そのような中、国を挙げて推進する地方創生の取組みを、地方公共団体と連携しサポートすることによって、行動指針である「地域密着」をさらに具体化し、当社の成長にもつなげていくという考えのもと、2016年から「地方創生」プロジェクトに取り組んでいます。地域課題の解決に向け、地方公共団体をはじめ、地域の企業や団体、大学、警察などと幅広く連携し取り組むことで、地域におけるネットワークを広げ、当社独自の「地域密着」の確立を目指しています。
 この取組みでは、地域に根差し活動する当社の代理店の皆様にも参画していただき、顔の見える活動を展開しています。とりわけ、地域における「安全・安心」の確保は、市町村をはじめとする地方公共団体にとっても、重要な課題であり、SDGsのゴール11にも通じるテーマと考えています。具体的には地方公共団体と連携して、地域の中小企業の皆様の「BCP※(事業継続計画)」策定の支援などに取り組んでいます。
 加えて、新たな取組みとして、当社の強みであるテレマティクス技術を活用した取組みも開始しています。具体的には、急ブレーキや急発進など、運転挙動データを取得できる専用車載器を用い、地方公共団体や警察と連携した安全運転イベントを開催しています。イベントで取得したデータと当社のテレマティクス自動車保険のデータを組み合わせたビッグデータを活用し、急ブレーキや急発進、急ハンドルなどの危険挙動が多い箇所を地図上にマッピングし提供することで、地域の交通事故の防止に役立ててもらっています。
 このような活動を通じて、2020年5月末時点で、市を中心とする300の地方公共団体と連携協定を締結しているほか、中小企業支援に向けて「全国商工会連合会」や「全国中小企業団体中央会」、共生社会への貢献に向けて「在日ブラジル商工会議所」とも連携協定を締結しています。
 また、当社取組みに対しては、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が運営する「地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」として認定され、3年連続で内閣府特命担当大臣(地方創生担当)の表彰を受賞するなど、多方面から高い評価をいただいています。
 今年度は、損害保険会社の社会的使命として、地域の「安全・安心」の確保に向け、より一層の貢献をしたいと考えています。地方公共団体も、政府の「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」や「SDGsアクションプラン2020」などを受けて、地方創生を進めるうえでSDGsへの関心も高まっています。私自身も、何人かの首長の方々とお会いしましたが、民間との協働に期待をしていただいていると肌で感じました。これからも、SDGsを道標に地域における課題解決取組みをすすめ、行動指針に掲げる「地域密着」の確立に向け取り組んでいきます。

※BCPとは事業継続計画(Business Continuity Plan)の頭文字を取った言葉です。

「地方創生」プロジェクトオーナー
あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
専務執行役員 吉田 靖之 氏

未来技術で地域を変える

 SDGsは社会課題や地域課題を解決するうえでイノベーションの大切さを説いています。
 当社は、中期経営計画「AD Vision 2021」において、「先進性」「多様性」「地域密着」の追求を掲げており、「先進性」では、先進技術の活用による新たな価値の提供に向け、社会や技術の変化への迅速な対応を進めています。特に、CASE・MaaS※など新たなモビリティ領域への対応に向けては、専任部署である「テレマティクス・モビリティサービス事業開発部」を設置し取組みを強化しています。また、産学連携取組みも進めており、群馬大学(「次世代モビリティの社会実装・実用化」に向けた共同研究)、香川大学(「MaaSに関する特別共同研究」)などと共同研究に取り組んでいます。
 自然災害への対応では、横浜国立大学、エーオングループジャパン㈱と連携し、自然災害による被災建物棟数を市町村ごとにリアルタイムで公開するウェブサイト「cmap.dev(シーマップ)」を開設し、2019年6月に一般公開しました。また、2020年6月には、台風上陸前から建物被害を予測する機能をはじめ、警戒レベル4・5相当地域の表示機能、洪水ハザードマップ表示機能を新たに追加しました。このcmap.devは防災・減災対策を推進する多くの地方公共団体の皆様から高い関心をいただいています。
 その他にも、昨今の大規模自然災害の発生を踏まえ、県立広島大学と「避難保険の商品化」に向けた共同研究も開始するなど、様々な対応を進めています。
 「未来技術には地域を変える力がある」と信じ、これからも「先進性」を追求し、社会課題や地域課題の解決に貢献していきたいと考えています。
 ※「C:Connected(コネクティッドカー)、A:Autonomous(自動運転)、S:Shared(シェアリング)、E:Electric(電動化)の頭文字をとった造語」「Mobility as a Serviceの略。マイカー以外の全ての交通手段によるモビリティー(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな移動手段の概念」

〈次ページへ続く〉