◯ミサワホームグループからの参加隊員数は述べ28名、第50次観測隊から16期連続の参加

◯現場経験で培った知見を生かし、64次隊に続き夏期隊員宿舎の基礎・床工事などを実施

◯南極内陸部の標高3,810mに位置するドームふじ観測拠点Ⅱでの掘削関連施設建設工事にも従事

ミサワホームの社員である松本巧也(まつもとたくや)氏と堀川英昭(ほりかわひであき)氏の2名、大学共同用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所(以下、極地研)により、建築・土木担当として第65次南極地域観測隊員に選任された。1975年の第17次(夏隊)に初めて参加し、今回を含めミサワホームからの南極地域観測隊への参加隊員数は、述べ28名、第50次観測隊に16期連続の参加となる。

南極地域観測は、南極条約に基づき、国際協力のもと国が実施する事業の一つである。1957年以来、60年以上にわたって実施され、日本の活動拠点となる昭和基地では、超高層物理学、気象学、雪氷学、生物学、地学など幅広い分野での研究活動が続けられている。

2名は極地研の職員として第65次南極観測隊の「設営係」隊員に所属し、松本氏は夏期隊員宿舎や内陸作業用モジュール2の建設工事や既存建物のメンテナンスを担当、堀川氏は氷床コアを採取するための施設である、掘削関連施設の建設などに従事する予定である。

今回観測隊に参加する2名は、これまでの業務経験を生かし、新たな建設工事や既存建物のメンテナンス工事などを総合的に進め、南極地域での活動拠点の拡大や隊員の住生活向上に貢献します。

ミサワホームは、今後も専門技術を有する社員の派遣などを通じて、南極観測活動に協力していきます。

隊員プロフィール

◯松本 巧也(まつもと たくや)氏

2017年4月にミサワホーム九州(株)に入社。約6年間、新築戸建や共同住宅の現場監督に従事。現場での経験を南極で役立てることを目標に立候補。プライベートでは先月から新居での生活がスタート。自宅にはミサワホームの「蔵のある家」。趣味は仲間たちと山へ行きキャンプをすること。

  • 松本氏本人のコメント

「さまざまな現場を経験していく中で、現場監督としてのスキルだけでなく、仲間づくりには欠かせないチームマネジメント力も高められました。これまでの知見を南極で生かしたい」

◯堀川 秀昭(ほりかわ ひであき)氏

1997年からミサワホーム建設(株)の選任大工として長年住宅施工に従事。2011年(第53次)と2021年(第63次)に昭和基地で活動、今回は3回目の参加となる。帰国後は「南極クラス」の講師として、全国の小中学校や病院の院内学級などで、現地での貴重な経験を多くの子供たちに伝えている。趣味はDIYで南極では毎回その力を十分に発揮できたという。

  • 松本氏本人のコメント

「3回目の参加として初心を忘れず、常に『ミサワホーム』の代表であることを意識して行動し、現地での経験を国内にフィードバックできるよう任務に挑みます」

第65次南極地域観測について

観測隊には、夏期の2ヶ月間滞在する夏隊と一年超にわたり滞在する越冬隊があり、それぞれ研究観測や定常観測などを担当する「観測係」隊員と、基地の設備や生活の維持を担当する「設営係」隊員で構成されている。このたび選任された社員のうち、松本氏は越冬隊員として、堀川氏は夏隊員として参加する。

松本氏は他の第65次観測隊と共に11月下旬に日本を出発し、オーストラリアのフリーマントルで南極観測船「しらせ」に乗船後、昭和基地に向かい年内の到着を予定している。堀川氏は先遣隊として10月下旬に日本を航空機で出発し、南アフリカのケープタウンを経由し空路で昭和基地へ向かう。その後、雪上車で約1,000km離れたドームふじ観測拠点Ⅱを目指し、蹬脚は11月下旬の予定である。現地の活動後、夏隊員の堀川氏は2024年2月頃に帰国、越冬隊員の松本氏は2025年3月頃に帰国予定である。

南極とミサワホーム

ミサワホームは1968年の「第10居住棟」以降、南極地域観測隊の活動や生活を支える建物を受注し、その実績は累計36棟、延床面積約5,900㎡にも及ぶ。今年3月には、完成する昭和基地最大の建物になる「夏期隊員宿舎」の部材を極地研に引き渡しする。

建物の多くに採用されている木質接着複合パネルは、徹底した品質管理体制の下、外装、断熱材、内装があらかじめ艤装され、昭和基地での夏場の限られた建設期間で、建築経験のない隊員でも短期間で施工でき、厳しい南極の気候に耐え続ける性能が特長である。過酷な環境下で培われてきた技術やノウハウは日本でも活かされており、居住棟に用いられているものと同じ120mm厚の木質接着複合パネルを採用した「センチュリーモノコック構法」を2017年に国内でも商品化し販売した。

また、ミサワホームグループと極地研・宇宙航空研究開発機構が連携し、持続可能な住宅システムの構築を目指し、「南極移動基地ユニット」による実証実験を行った。2022年にはドームふじ観測拠点Ⅱ二設置、居住施設として使用した。

国内では、全国の学校生活協同組合や教育関連団体と連携し、極地研の協力を得て、今回の堀川氏をはじめ南極地域観測隊に参加した社員らが講師となり、小中学校を中心に授業を実施する教育支援プログラム「南極クラス※」を2011年から開催。コロナ禍以降は対面だけでなく、オンラインで開催するなど多様な活動を実施している。生徒には、遥か遠くの南極の世界を身近に感じてもらうとともに、将来の夢や希望を持つこと、お互いに支えあいミッションを達成していくチームワークの大切さなどを伝えている。昨年度までに延べ2,163校で21万人以上を対象に開催している。