昨今、食料品を中心としたメーカー各社の値上げが続き、今年も8月までに2万品目以上の値上がりが推定されるなど生活防衛意識と同時に「手軽により美味しいものが食べたい」「簡単・便利な商品を利用したい」というニーズも高まっている。

そういった中、来年度にはブランド創立50周年を迎えるイオンのプライベートブランド「トップバリュ」がお客さまや地球環境に寄り添い続ける新たなブランドビジョンを設定。リブランディングした「トップバリュ」をその取り組み説明会を3月16日イオンモール幕張新都心グランドモール3階イオンホールにて行った。ここではそこで登壇したイオントップバリュ株式会社代表取締役社長 土谷美津子氏と、イオントップバリュ株式会社 取締役副社長 森常之氏のプレゼンテーションの概要を紹介する。

23年度「トップバリュ」
リ・ポジショニングについて

イオントップバリュ株式会社 代表取締役社長 土谷美津子 氏

変化に向き合いながら新商品を開発

まず2022年を振り返りたいと思う。円安、物価高騰、コロナ禍の行動規制など様々なことがあり、お客さまの節約志向が一気に高まり、厳しく変化が激しい1年だった。しかしながら変化というのは、大変なことばかりではない。チャンスもそこにはあると考えている。

既に起きている環境変化としては、まず世帯構造の変化が掲げられる。夫婦と子どもというファミリー層が一気に減り、圧倒的に単身世帯が増加している。ファミリー層と単身世帯が肉薄しているのが今の状況であり、若者、中間層も多く、単身層が全体として2倍超となっている。

環境変化の次に揚げられるのは価値観<嗜好性>の変化となる。以前は価格に加えて「定番安心」の商品を選ぶお客さまが多かった。これが昨今、変化し、「こだわり」が増えている。この「こだわり」を感じながら、自分の価値観を持って商品を購入されるお客さまの増加が新しい時代の流れと捉えている。

私たちはこういった変化に向き合いながら、どういう商品を提供していくべきか、を考え、その開発に取り組んできた。新しいものをつくろう、今までないものをつくろうという観点で取り組んできた結果、今まで「トップバリュ」を購入されなかったお客さまが、購入されるようになってきた。そして、その価値に満足いただいてリピートいただけるようになった。結果、毎年実施している社内調査である「ブランドエクィティ調査」において過去10年で最高の評価をいただいた。

イオントップバリュ株式会社 代表取締役社長 土谷美津子 氏

価格戦略、独自価値商品の創造、環境・社会問題の解決へ

2023年度商品政策においては大きく3つのことに取り組んでいく。1つめはインフレ下での価格戦略。イオンの基本姿勢として、常にお客様に寄り添って暮らしをサポートするべく生活必需品のプライスリーダーシップを取っていく。そのため、グループのスケールメリットを活用した商品開発、そして調達を強化し、様々な工夫を重ねて新しい商品を提供していきたい。そして、価格維持に努めていきたい。俗にいうステレス値上げやスペックダウンはしない。私たちはお客さまの信頼関係が何より大切だと考え、きちんと守ってきた。しかしながら創意工夫が足らず、価格改訂となることもある。昨年度宣言させていただいた通り、事前にお客さまにはわかりやすくお伝えした上で価格を変更させていただくことにしている。

2つめは独自価値商品の創造となる。「トップバリュ」を中心に新しいカテゴリー・商品開発を行っていく。先にお伝えした環境変化、世帯・価値観の変化による新しいニーズ、を採り込んだ商品開発に取り組んでいきたい。

3つめは環境・社会問題の解決に向けた取り組み促進となる。それは3Rの取り組みの推進、オーガニック商品の拡大になる。オーガニックについてはグリーンアイ30周年を迎え、全社一丸となって取り組んでいく。

新しいタグラインと共にイオンの理念を具現化

本年度「トップバリュ」は新たなブランド体系とリ・ポジショニングを行う。メインブランドは「さあ、ワクワクするほうへ!」というタグラインでとにかくワクワクする商品、本当に美味しく、面白く、今までなかった!という商品を開発していきたい。グリーンアイは「もっと安心、もっとやさしく」、ベストプライスはロゴも刷新し「今日も明日も、ほしいもの」とタグラインを変えていく。

「もっと安心、もっとやさしく」を目指すグリーンアイは、30周年となるが前段で述べた環境変化により、その意味合いは大きく変わってきている。次の30年に向けては単なる取扱商品の拡大にとどまらず産地・生産者さまと共創するブランドとして変革していく必要がある。またブランド名にある「グリーン」は環境配慮型のトップランナー商品として進化も不可欠であると考えている。

「トップバリュ」は2023年度においては、全アイテムの50%に相当する約2500品目の新発売・リニューアルを実施していく。さらに22年度9000億円に達した売上高を23年度は1兆円まで伸ばしていきたい。トップバリュのリ・ポジショニングは、まだ地についたばかりではある。しかし、イオンの理念を商品で具現化するブランドとして必ず変化するお客さまに対応して、受け入れていただいて、達成していきたいと考えている。

新たなブランド体系と商品紹介

イオントップバリュ株式会社 取締役副社長 森 常之 氏

価値観のセグメントから新たな商品を生み出す

アフターコロナでお客さまの価値観が大きく変化していく中で、「トップバリュ」は新しいブランド体系、新しいブランディングを実証していきたいと考えている。全体が110%の伸長を示しているが昨対比で一番伸びたのは「ベストプライス」になる。特にNB商品等の値上がりがあった商品については130%以上の伸長を見せた。またメインブランドも106%、グリーンアイが104%、特にグリーンアイ、オーガニック商品が毎年高い伸長率を見せている。

まずメインブランドについて説明をさせていただく。ブランドのタグラインのプロミスとして、グリーンアイは「もっと安心、もっとやさしく」、メインブランドである「トップバリュ」は「さあ、ワクワクするほうへ!」、ベストプライスは「今日も明日も、ほしいもの」でスタートしていく。

「トップバリュ」の第一弾の商品として“徒歩0分のレストラン”をコンセプトに「トップバリュもぐもぐ味わうスープ」シリーズ11種類を本日より発売。パックのままレンジで温めるだけで具だくさんのスープをもぐもぐと味わえるということでディナーにも、忙しい朝の食事としても活用できる。こだわったのは、美味しい味の提供と11種類を一気に発売していくということ。価格帯もお買い得で、若い世代、単身の方をターゲットに発売していく。

「トップバリュ」では価値観のセグメントから商品開発をしているが、このシリーズは「こだわり(洗練上質)」「健康」「自分磨き」などを志向するお客さまに買っていただきたいという想いで発売を先行。その結果はしっかり数字に表れている。「たまごのおいしさまるごとマヨネーズ」や「黒酢酢豚」、「グレインフリーキャットフードパウチシリーズ」などのペットフードも大変好評だ。

イオントップバリュ株式会社 取締役副社長 森 常之 氏

環境・社会問題の解決と毎日のくらしや未来に寄り添う

グリーンアイは「もっと安心、もっとやさしく」というタグラインで展開していく。イオングループの環境・社会問題の解決を商品で具現化していくのは「トップバリュ」であり、環境に突き抜けたブランドとして30周年を機に大きく拡大していきたいと考えている。

ベストプライスは、ロゴを従来のクラウンマークからマルをモチーフにしたものに変更した。お客さまの毎日の生活に、いいね!(マル印)をいただける、親しみやすい「私の定番ブランド」になりたい!という想いや覚悟をそのデザインで表現した。さらに一人ひとりの毎日のくらしや未来に寄り添う商品をいつも手頃な価格でお届けしたいと考えている。

その第一弾として象徴的な商品がバーリアルグランとなる。13年間バーリアルという名前で発売。その名称を引き継ぎながら、お客さまの声にあった雑味を低減するために商品開発に1年以上取り組み、華やかな香りとコクのある味わいをもつ発泡酒が誕生した。
上品な香りとコクのある味わいの「リッチテイスト」、スッキリ軽快な味わいの「糖質50%オフ」、飲み飽きないベーシックな味わいの「レギュラー」の3種類がある。ぜひ開けた瞬間のフローラルな香りも堪能してほしい。