CDPジャパンの年次フラッグシップイベントであるCDPのAリスト企業アワードが開催され、CDPの2022年度における開示状況に関する分析報告、日本政府・自治体によるスピーチ、そして、Aリスト企業の経営層等によるスピーチやパネルディスカッションが行われた。

ここでは気候変動、フォレスト、水セキュリティの分野で先進的な取り組みを行うAリスト企業のトップエグゼクティブが行ったスピーチの要旨を数回に分けて紹介する。今年度はAリストに名を連ねた企業数は日本では過去最多の92社。これは世界で最多の企業数となる。

【トリプルA 企業】

花王株式会社
代表取締役社長執行役員 長谷部佳宏 氏

花王は中期経営計画K25とともに花王のESG戦略 – Kirei Lifestyle Planを推進。日々の暮らしの中でお使いいただく製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷低減に取り組んでいる。脱炭素の実現を目指して2040年カーボンゼロ、2050年カーボンネガティブ達成という野心的な目標を策定した。また森林破壊抑制に向け、インドネシアにおいて小規模パーム農園プログラムを推進している。今後もESGを経営の中核に据え、ステークホルダーの皆さんとともに豊かな共生世界の実現に向けて取り組んでいく。

【ダブルA企業 水セキュリティ・フォレスト】

不二製油グループ本社株式会社
代表取締役社長最高経営責任者 酒井 幹夫 氏

当社グループはかねてよりサプライチェーンでの環境や人権課題と真摯に向き合い、2016年から持続可能な原料調達に注力している。マレーシアではパーム農園開発による森林破壊に対処するため継続的にプランテーションや農家、搾油工場などに働きかけている。これからもサステナビリティの取り組みを進化させ、植物性素材で美味しさと健康を追求し、ステークホルダーの皆さんとサステイナブルな食の未来を共創していく。

【ダブルA企業 気候変動・フォレスト】

積水ハウス株式会社
代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 仲井 嘉浩氏

当社はエネルギー収支ゼロを目指すZEHの普及に努め、戸建て住宅は搭載率が9割、賃貸住宅も6割を超え、分譲マンションのZEH化も進めている。またお客様とともに21年間取り組んできた5本の木計画は在来種の植樹が1800万本を超え、生態系保全の効果の数値化を世界で初めて実現するなどネーチャーポジティブな活動として発展している。

このように当社は今後もESG経営のリーディングカンパニーを目指して持続可能な社会の実現に貢献していく。

【ダブルA企業 気候変動・水セキュリティ】

大和ハウス工業株式会社
取締役社長/CEO 芳井 敬一 氏

当社では昨年1年かけて様々なステークホルダーの皆様と一緒に私たちの存在意義を考え、対話を重ねてきた。そして私たちのPurposeとして「生きる喜びを未来の景色に」という将来の夢を掲げてきた。気候変動への対応はこのパーパスに照らしていえば、まさに未来の子どもたちの「生きる」を支える取り組みとなる。大和ハウスグループとしても「2030年までにやれることはすべてやる」と強い覚悟をもってカーボンニュートラル戦略を確実に実行し、まずは今年度大和ハウス単体でのRE100 を実現していきたい。

富士フィルムホールディングス株式会社
取締役執行役員 ESG推進部長 吉澤ちさと 氏

富士フィルムの製造には正常な水と空気が不可欠となる。事業構造が大きく変化した今でも環境保全とステークホルダーから信頼を得ることは当社のDNAとして根付いている。気候変動が社会に与える影響は広範囲にわたり、気温上昇に伴う想定外の疾病拡大や異常気象による交通の寸断に伴う移動の制限にも及ぶ。富士フィルムグループは当社専門の医療IT・画像診断システムを活用した医療ソリューションを提供することで医療従事者の負担軽減や医療アクセスの向上に貢献し、今後も事業を通じて社会課題の解決にむけて取り組んでいく。

富士通株式会社
執行役員 EVPCSO 梶原ゆみ子 氏

当社は2021年にシナリオ分析として1.5℃と4℃での気候変動による事業変動を分析し、昨年対応策について開示した。具体的な取り組みとして当社の強みである先進デジタル技術を軸にサプライチェーン全体のCO2排出の可視化やお客様のSX実現に向けた戦略支援サービスの影響などを開示している。また昨年6月にSBTIネットゼロ目標認定に向け、コミットミントレターを提出し、受理されている。今後もカーボンニュートラル社会の実現に向け、皆様とともに取り組みを推進していく。

株式会社 日立製作所
Chief Sustainability Officer
ロレーナデラッジョ・ヴァンナ 氏

2022年日立は気候変動領域のイノベーターとなるため2つの目標を明確にしました。「グリーントランスフォーメーション(GX)forCore」のもと2030年までスコープ1と2でカーボンニュートラル、バリューチェーン全体では、50%削減を目指す。「GXforGrowth」のもとではより環境に配慮した日立の技術とソリューションによりお客さまの排出削減を支援し、また循環型経済への移行に向けて資源効率化を推進していく。日立はお客さまやパートナーとともに脱炭素社会、高度循環社会の実現に向けて、プラネタリーバウンダリーを守り、人々の幸せを支えるために全力を尽くしていく。

キリンホールディングス株式会社
代表取締役社長 磯崎功典 氏

当社は食品や医薬品を提供する企業の使命として、創業当時から自然を大切にし、環境問題には先取りして取り組んできた。キリングループは環境問題をはじめとする社会課題を解決することで経済的価値を同時に創出することを目指す「CSV経営」を掲げている。これからも人類と自然が共生する社会に貢献し、世界のCSV先進企業を目指していくことをお約束する。

株式会社コーセー
代表取締役社長 小林一俊 氏

コーセーグループではサステナビリティ戦略と目標をまとめた「コーセーサステナビリティプラン」を策定し、脱炭素社会の実現のため、2040年までにカーボンニュートラルを目指す。また化粧品製造で欠かせない資源である水においては事業活動における取水量の削減や水資源の保全に積極的に取り組んでいる。今後もコーポレートメッセージ「美しい知恵 人へ、地球へ。」のもと健やかな地球の未来を実現するため、気候変動対策や水資源保全の取り組みを加速していく。

日本電気株式会社(NEC)
代表取締役 執行役員社長兼CEO
森田隆之 氏

NECはこれからも環境分野におけるリーディングカンパニーとして貢献していくため、昨年2040年ネットゼロ達成に向けてチャレンジすると発表した。NECは「安全」「安心」「公平」「効率」という社会価値を創造し、「誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会」の実現を目指すことをPurposeとして掲げ、目指すべき未来像を「NEC2030VISION」として示し、その土台に「環境」を位置づけている。NECが強みを持つテクノロジーを最大限に活用し、世界共通の環境課題へ皆さまと取り組み、「地球と共生して、未来を守る」ビジョンの実現を目指す。

オムロン株式会社
代表取締役社長CEO 山田義仁 氏

オムロンは、企業は社会の公器であるという考えに基づき、事業を通じてより良い社会づくりに貢献していくことを使命としている。2030年までの長期ビジョンでは脱炭素・環境負荷軽減をサステナビリティ最重要課題に定め、2050年のカーボンゼロ実現に向けた取り組みを進めている。今年度にはエネルギー生産性向上のための国際イニシアティブEP100への加盟を国内製造業として初めて宣言し、新たな一歩を踏み出した。オムロンはこれからも持続的な企業価値向上とカーボンニュートラル社会の実現に取り組んでいく。

小野薬品工業株式会社
代表取締役社長 相模暁 氏

当社は1717年の創業以来薬業一筋に歩んできた。「病気と苦痛に対する人間の戦いのために」という企業理念のもと革新的な医薬品をお届けできるよう取り組んでいる。健全で持続可能な社会の実現のためには、私たち自身が健全でならないといけないと考え、本年サステナブル経営方針を定めた。企業理念の実践を通じ、人々の健康に貢献するとともに次世代への豊かな地球環境の保持のため取引先の皆さまとともに持続可能な社会の実現に向けて挑戦を続けていく。

塩野義製薬株式会社
代表取締役会長兼社長 手代木 功 氏

塩野義は製薬企業として新しいヘルスケアソリューションを創出し、それをグローバルにお届けする企業を目指している。地球環境の保全を通じた持続可能な社会の実現は私どもの果たすべき重要な責務であり、SHIONOGIグループEHS行動目標行動目標を定め、サプライヤーの皆さまと共同したCO2排出削減や製造設備における抗菌薬の排出管理など厳格に取り組んでいる。医療ニーズと地球課題、双方への挑戦を通じて社会のウエルビーイング実現に貢献し、皆さまから必要とされる企業として成長していきたい。

住友化学株式会社
代表取締役社長 社長執行役員
岩田圭一 氏

住友化学グループは気候変動問題を化学企業は率先して取り組むべき社会課題として捉え、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたグランドデザインを2021年に策定した。具体的には自らの企業活動に伴って発生するGHG排出量をゼロに近づけることを企業としての「責務」とし、そして我々が提供する製品や技術を通じて世界のGHG排出量を削減させることを「貢献」とし、責務・貢献の両面から取り組みを推進している。さらに当社グループは、より広範で複雑な生物多様性への対応が重要な課題であると考え、GHG排出削減と並行して水や土壌、土などを含めた生物多様性の保全にも取り組んでいる。

トヨタ紡織株式会社
代表取締役社長 Chief Executive Officer
白柳 正義 氏

当社は環境負荷の少ない製品を開発・製造し、安全で快適な移動空間の提供を通じて社会に貢献していく。また2016年に「2050年環境ビジョン」を策定し、カーボンニュートラル達成に向けてトヨタ紡織グループ一体となって取り組んでいる。今後もステークホルダーの皆さまと共に子どもたちが笑顔で暮らせる持続可能な社会の実現を目指していく。

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