日本での第7回目の開催を迎えるサステナブル・ブランド国際会議がビジネスの中心地である、東京・丸の内で2月14日、15日の両日で開催された。

同会議は持続可能性を議論し、ネットワークを広げる場として最も長い歴史を持つ会議のひとつであり、CSR/サステナビリティ部門だけでなく、マーケティングやブランド戦略、事業開発、サプライチェーン・調達、人事管理など企業の多彩な部門と自治体、NPO/NGO、教育機関などからの参加者が集う。その最大の特徴は基調講演に加え、ネットワーキングエリアやワークショップを中心に、企業、国を超えて、共通のテーマでディスカッションできることだろう。

今年のテーマは「自らを見つめ直し、地に足をつけ、新たに加速する」ことへの決意を込めた「RECENTER & ACCELERATE(リセンター・アンド・アクセラレイト)」。持続可能で、さらに積極的に自然環境や地域を再生させるリジェネラティブな未来を実現するためには、歩みをゆるめ、いま一度、点と点を結んでいく作業が重要となることをこのテーマに込めている。ここでは14日の午後から開催された「自治体と企業による共創事例ピッチ」の概要を紹介する。

Peer to Peerの関係と強い磁力を生み出すSDGs

14日の午後から開催された自治体と企業による共創事例ピッチではSBアカデミックプロデューサー青木茂樹氏が挨拶。SDGsによってコラボレーションの機会が増えたことを強調し、従来の行政と企業との関係が発注元と発注先との関係であったのに対し、SDGsによって社会課題を解決していく上ではPeer to Peerという同じ目線の関係の議論が重要になると述べた。

そして、大学の教員なら学部の一員としての見方があり、同じように企業であればその部署としての視点がある。同様のことは行政などでも言えるだろう。そういった縦割りでの区切りを打ち破るためには、大学なら学生の教育になる。学生たちの幸せを、あるいは教育のレベルをどう上げていくか、という視点に立ったときに建設的な議論ができることを伝え、SDGsで生まれるコラボレーションの在り方に言及した。

続いて挨拶に立った未来まちづくりフォーラム実行委員長笹谷秀光氏は、SDGsを使いこなすことの難しさを伝えながら、その内容が各論で終わってはいけないことを力説。SDGsの素晴らしさは全体の体系にあり、総論と各論のシンクロする議論に期待を寄せた。

またSDGsには磁石のように仲間を増やす力があることと素晴らしい発信力があることを訴え、この共創ピッチで紹介される様々なコラボレーションの実例もその磁場の強さを証明していると述べた。またSDGsほど発信力のあるスキームはなく、一人ひとりがSDGsについて話す自己責任があることで、それが加速されると話した。

自治体と企業による7つの共創事例ピッチ

引き続き先行事例として7つのコラボレーションのピッチが行われた。

先行事例1「自治体における脱炭素社会の実現と情報ツールとしての紙の役割」では大田区の森住献一氏とエプソン販売株式会社 大野裕寿氏が紙をスピーディーに再生できる仕組みを取り入れた事例を紹介。使用済用紙にその場で情報の完全抹消を行い、新たな紙に再生できるプリンターを導入し、電気使用量・廃棄物量・印刷コストの削減に加え、業務効率や生産性向上を実現した取り組みを説明した。

先行事例2「眠れる観光資源を掘り起こす~隠岐諸島におけるJTBの挑戦~」においては一般社団法人隠岐ジオパーク推進機構 野邉一寛氏と高橋秀幸氏、株式会社JTB檜垣 克己氏が登壇し、美しい島の映像を交えながら、2006年より進めてきた地域交流分野での取り組みの一つとして隠岐諸島の事例をプレゼンテーシした。

先行事例3「デジタル田園都市国家構想への長野原町の挑戦~地域をつなぐ~」では長野原町役場 佐藤 博史氏、株式会社ドコモビジネスソリューションズ堀谷 順平氏が誰一人取り残さない人に優しいデジタル化を念頭に、長野原町様とドコモグループがタッグを組み、デジタル技術を活用して「住民と住民」「行政と住民」「企業と住民」「行政と企業」を”つなぐ”その挑戦の軌跡を語った。

先行事例4「誰ひとり医療アクセスから取り残さない、医療MaaSの取組み」では千葉市役所渡辺大樹氏、東京海上日動火災保険株式会社石川沙莉氏、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社高橋 敦氏がビジョン策定、横断組織構築、デジタルアセットがカギになる地方における医療アクセス課題への取り組みを説明した。

先行事例5では「京都府城陽市のDX推進事例3,500業務と向き合った全庁DXの苦労と成果」と題し、城陽市吉川 保也氏、NECネッツエスアイ株式会社高尾 征志氏が城陽市のDX推進への成功事例と同市が目指す「より暮らしやすい人口減少の時代にあっても選ばれるまち、新たな城陽『NEW城陽』実現に向けた取り組みを紹介した。

先行事例6「セルロースナノファイバー(CNF)を活用し地方創生に取り組む」では富士市役所平野貴章氏と日本製紙株式会社松岡孝氏が、木材を最先端技術でナノ単位まで細かくしたオーガニックな素材セルロースナノファイバー(CNF)を使用し、富士市役所と行ったSDGs貢献型の共同開発を説明した。

先行事例7「創造的復興に向けたレスポンシブルツーリズム~未来にむけた観光人材育成の取組~」では熊本県木村 敬氏、株式会社日本旅行吉田 圭吾氏・椎葉 隆介氏が登壇。熊本地震や人吉球磨豪雨水害と度重なる自然災害が発生し、観光産業においても大きな影響が生じた熊本県で実施した取り組みを紹介。熊本県と日本旅行のコラボレーションによる未来の観光人材の育成に向けた取り組みについてピッチを行った。