グリーン購入ネットワーク(以下、GPN)が、「持続可能な調達」を通じて、グリーン市場の拡大に貢献した取り組みやSDGsの目標達成に寄与する取り組みを表彰するグリーン購入大賞。その第23回となる授賞式が12月12日に行われ、以下のように大賞等の企業・団体を顕彰した。

◆大賞・環境大臣賞

東急不動産株式会社(大企業部門)

『自社の再生可能エネルギー事業を軸とした「発電するデベ ロッパー」が挑戦する、再エネ利活用の一連の取り組み』

◆大賞・経済産業大臣賞

Loop Japan合同会社(中小企業部門)

『循環型ショッピングプラットフォームLoop』

◆大賞・農林水産大臣賞

佐賀市(行政・民間団体部門)

『「木になる紙」の公共調達によるCO₂排出量削減の取組みについて~新たな環境価値の共創~』

◆大賞

株式会社ジモティー(大企業部門)

『地域の今を可視化しリユースを促進させる、地域の情報サイト「ジモティー」』

株式会社Nature Innovation Group(中小企業部門)

『傘のシェアリングサービス「アイカサ」』

大和ハウス工業株式会社(サプライヤーエンゲージメント特別部門)

『サプライチェーンのカーボン・ニュートラル達成に向けて~サプライチェーンにおけるCO₂の“チャレンジ・ゼロ”~

◆優秀賞

株式会社KAWASAKI(中小企業部門)

『廃プラスチック資材を利用し、地球にやさしい、環境負荷の少ないサスティナブル建材の研究・開発・販売活動』

株式会社宮城衛生環境公社(中小企業部門)

『地域の衛生環境を守る中小企業が取り組む脱炭素社会実現に向けた活動』

神戸市(行政・民間団体部門)

『神戸プラスチックネクスト~みんなでつなげよう。つめかえパックリサイクル~』

鳥取県(行政・民間団体部門)

『小さな県だから 県と企業がともに描く未来~再エネ100宣言 RE Actionで本気の脱炭素を目指す~』

加山興業株式会社(サプライヤーエンゲージメント特別部門)

『脱炭素への取り組み強化による廃棄物処理における環境負荷低減の徹底』

ここでは授賞式の際に行われた審査総評、来賓挨拶を紹介する。

〈審査総評〉

審査委員長 GPN 会長(東京大学大学院教授)
梅田 靖 氏

23回目となる今年度のグリーン購入大賞は、SDGsの目標達成に寄与する持続可能な消費と生産の取り組みに加え、「サプライヤーエンゲージメント特別部門」を設け、サプライチェーン全体での優れた取り組みを募集し、さらなる普及を図るとともに類似事例を生み出すべく、合計で11団体を表彰した。非常にバラエティに富んだ取り組みを表彰できたと自負している。

再エネ電力の調達では、自ら再エネ発電設備を設置・導入して再エネ電源を増やし、電動車や蓄電池等と組み合わせて蓄えた再エネ電力を有効利用したりする取り組みが特徴的だった。また区域全体で脱炭素に向けて地域の企業に再エネ導入を促す取り組みは他の地方自治体に参考になる事例となる。

資源循環では、リユース可能な容器で製品を提供する循環型リユースシステムやシェアリングを促すサービス、使用済み容器を回収し水平リサイクルを目指す取り組みや廃プラスチック資材を繰り返し利用する等、多様な取り組みを表彰した。2009年度に続き、「木になる紙」の取り組みでは、用紙のグリーン購入が森林保全に加えCO₂削減、雇用創出、環境教育、官民協働という多方面へ好影響をもたらすポテンシャルがあることが示された。

サプライヤーエンゲージメント特別部門では、ダイアログやワーキンググループ等によるサプライヤーへの働きかけを加えたり、顧客や同業他社へ展開したりしている事例もあった。

企業・地方自治体・団体の方々には、今年度のこれらの受賞事例の特徴を掴み、自らの取り組みに活かしていただきたいと思う。また本日受賞される皆様は表彰式で終わりではない。選択して成果に至るプロセスや関係者との連携等取り組みのエッセンスを伝播する役割を私たちGPNと担ってくださる役割ことをお願いして講評とさせていただく。

GPN 会長 梅田 靖 氏

〈来賓挨拶〉
環境省 大臣官房審議官
小森 繁 氏

世界は気候変動という人類の生存危機に関わるものに直面している。またコロナ禍にあっては物価高騰などもあり、非常に難局となっている。このような中で我が国としても気候変動に対峙し、2050年のカーボン・ニュートラルを実現し、経済社会を様々な意味で持続可能なものにしていく新しい資本主義を目指し、GXを進めて環境と成長を好循環させるということが非常に大きな課題となっている。

このような世界の変革・日本社会の改革に向けて大きな動きとなっているのが2015年に国連が定めたSDGsとなる。SDGsの中には持続可能な消費・生産、すなわち社会における生産・消費・サービスの在り方について根本的な変革をしようということが目標となっている。持続可能―サステナブルディベルティメントという難しい言葉ですが私が1992年に当時の環境庁に入った年に地球サミットがというのがあった。その30年目となる今、皆様の表彰された事業の経過を見ますと非常に心強く、着実に世界で、日本で持続可能な取り組みがしっかりと前に進んでいる感じ、非常に感銘深く、取り組み内容などを拝見させていただいていた。

政策的には1992年のあと、1993年に環境基本法が制定され、ここには国による環境への負荷の軽減に資する製品等の利用促進が盛り込まれている。あるいは2000年にはグリーン購入法も制定されたが、実際に物品あるいはサービスにおいてクリーンで環境にやさしいものを実現していくためには市場が変わらなければいけない。このような中で本日23回目を迎えたグリーン購入大賞を主催するGPNは、大企業、中小企業、行政や民間団体などグリーン購入への多様な行動が日本の企業経営やライフスタイルの変化を促し、大変に大きな貢献をされてきた。

2050年のカーボン・ニュートラルの実現に向けて環境省としては地域・暮らしという視点から需要サイドで対策に取り組んでいくことが非常に大事だと思っている。まさにグリーン購入というものを通じて市場のすそ野が広がり、大きく変わっていくことになるのではないか。ますますグリーン購入の重要度が増し、環境問題の対応においては、積極的な企業を応援する声が高まっている。今回の受賞者の皆様のさらなる工夫で環境配慮型の製品やサービス、またサプライチェーンなど経営の在り方などを含めて新しいものを生み出し、普及していかれることと期待している。

環境省 大臣官房審議官 小森 繁 氏

〈来賓挨拶〉
経済産業省 産業技術環境局 審議官
木原晋一 氏

今回受賞された方々の取り組みは、地球環境に対してだけではなく、ビジネスとしても事業としても持続可能であることが大きなポイントであるし、素晴らしいプロジェクトだと思う。今後の展開を期待したい。経済産業省では循環経済へのトランスフォーメーションが不可欠と考えている。今後、成長志向型の資源自立経済の確立にむけて議論を行っているが、これを深め今年度中に戦略にまとめていきたい。今回Loop Japan様が経済産業大臣賞に選ばれた。この取り組みは容器リサイクルに新しい価値を創り出してビジネスとして持続可能なモデルを構築し、循環経済における成長機会を反映させた先進事例だと思っている。このような取り組みが次々に生まれていくような社会づくりを目指し、政府としても政策を進めてまいりたい。

経済産業省 産業技術環境局 審議官 木原 晋一 氏

〈来賓挨拶〉
農林水産省 大臣官房審議官
岩間 浩 氏

林水産省は2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定した。そこでは食料における環境負荷の軽減や持続可能性、そして、その生産の現場においても農薬や肥料などの環境負荷や化石燃料の使用を抑えていくことが非常に重要となっている。そのために、エネルギーの調達から加工・流通・消費までまさに全体的なシステムとして一体的に捉え、それぞれの取り組みを促していく仕組みを今、進め、それに関連する法律を2022年度中に施行し、本格的に動いていく予定となっている。まさにこうしたグリーン購入という環境負荷の軽減を評価し、正当に購入することが極めて重要になると考え、今後も応援していきたい。

農林水産省 大臣官房審議官 岩間 浩 氏

〈大賞団体 記念スピーチ〉

【大賞・環境大臣賞】
東急不動産株式会社(大企業部門)

自社の再生可能エネルギー事業を軸とした「発電するデベロッパー」が挑戦する、
再エネ利活用の一連の取り組み

東急不動産株式会社 代表取締役社長 岡田正志 氏

当社は環境先進企業を目指し、1998年には環境ビジョンを策定。再生可能エネルギー事業については2014年に参入し、今では太陽光や風力やバイオマスなどの発電事業を全国数10箇所で行っている。その発電能力は1.3ギガを超え、さいたま市の世帯数をカバーできるまでに成長した。今後は洋上風力発電、農地での太陽光発電ソーラーシェア事業の場を広げていきたい。現在こうした発電能力を活かして自社所有の土地・施設・ゴルフ場やホテルなど国内の各施設での再生可能エネルギー化を推進している。また当社では環境経営を経営の中心課題として掲げ、事業を通じた取り組みを進めている。たとえば来年度以降着工のすべての分譲マンションのZEH化など全国で様々な計画を進め、2022年中に主要施設の再エネ切り替えを完了する見込みとなっている。本日の名誉ある受賞を励みとし、東急不動産は環境を起点とし、環境先進企業として事業を拡大し、街を創造し続けていきたい。

東急不動産株式会社 代表取締役社長 岡田正志 氏

【大賞・経済産業大臣賞】
Loop Japan 合同会社(中小企業部門)

循環型ショッピングプラットフォーム Loop

Loop Japan合同会社 日本代表 Eric Kawabata 氏

Loop Japanは長く使い捨て容器の回収を行ってきた。その中で空き容器に関しては1回で使い捨てられているものが多い。そこで私たちはリサイクルだけではなく、リデザインを思いつき、リユースのプラットホームをつくった。20回同じ容器を共有すればお金を容器にかけることが可能になる。よりデザイン性や耐久性も高くなる。毎回リユースすることで製造コストが下がる。Loop Japanは今後もリユースを増やし、ごみを削減していく循環経済のドライバーを目指したい。

Loop Japan合同会社 日本代表 Eric Kawabata 氏

【大賞・農林水産大臣賞】
佐賀市(行政・民間団体部門)

「木になる紙」の公共調達による CO₂排出量削減の取組みについて
~新たな環境価値の共創~

佐賀市 総務部 契約管理課課長 山口和海 氏

佐賀市は「木になる紙」のモデル都市として、放置されたままの森林から商品価値の低い間伐材を活用して製品化し、これを自ら購入する紙の地産地消に取り組み、14年目となっている。そこでは森林整備を通じた環境保護として地道に山を守り続けていただいている森林所有者の方々に少しでも還元できるよう売上金の一部を還元金として支給する仕組みも構築。生産者から消費者に至るまで一体となって官民協同で取り組んできた。今年はさらに調達実績に応じて最終消費者が自ら排出するCO2と相殺できる仕組みを取り入れた。九州ではじまったこの取り組みは現在滋賀愛媛大阪など東日本にむけて展開中。より良い山々を残して未来を担う子どもたちに上手に自然環境を繋いでいきたい。

佐賀市 総務部 契約管理課課長 山口和海 氏

【大賞】
株式会社ジモティー(大企業部門)

地域の今を可視化しリユースを促進させる、地域の情報サイト「ジモティー」

株式会社ジモティー 執行役員 竹山悠二郎 氏

当社は、2011年より地域情報サイト「ジモティー」を運営し、情報インフラとして月間1,000万人以上に利用されている。またここ数年で注目を集めているリユース分野においても必要なものを必要な人へ届ける場として活用いただいている。地域の中で利用者が無料で取引を行える場を提供することによって、これまでであればリユースできずに粗大ごみとして捨てられてきた不用品のリユースにも貢献してきた。近年では自治体とも連携して、地域内の資源循環を促進し、現在約60か所の自治体とリユースに関する協定を締結し、住民に対するリユースの啓発や住民がまだ使える不用品を持ち込み、ユース品として指定できる場を開設する取り組みを行っている。一般的に価値がないように見えても必要とする人から見れば価値があるものが大量にある。「ジモティー」では、メディア力を生かすことで地域の中でユースを進めるともに必要な人にとって生活の助けになるような場を目指してきた。今回の受賞によってこれまで試行錯誤しながら運営してきたサービスが環境保全に対して自信をもてる結果となったとメンバー一同大変に喜んでいる。

株式会社ジモティー 執行役員 竹山悠二郎 氏

【大賞】
株式会社 Nature Innovation Group(中小企業部門)

傘のシェアリングサービス「アイカサ」

株式会社 Nature Innovation Group 代表取締役 丸川照司 氏

傘のシェアリングサービスを通して、当社では一つのビジョンを掲げている。それは使い捨て傘を0にするということ。そして雨の日を快適にハッピーにするということ。そこで当社では通り雨でも傘を購入しないで済むように1日110円で経済合理性を高く1分で傘借りられるようなサービスを開発してきた。アイデアから社会実装まで3年くらいかけ、実はこのビルにも3台おかせておいていただいている。現在、全国13都道府県に1,000箇所以上の傘スポットを設置。会員数は40万人。将来は2万か所以上、会員数も数千万人単位にしていきたい。1本の傘は3年から5年以上修理しながら使っている。提供する回数も300回から500回を目指している。今まで1本の傘でそこまで価値を発揮したことがあったかどうか、そういったことも社会に問いかけながらリユースを提供する価値の素晴らしさを証明していきたい。傘の寿命はITの活用でのからめるとさらに寿命を含めて抜群に飛躍することができると思っている。そのような社会の前進に寄与していきたい。

株式会社 Nature Innovation Group 代表取締役 丸川照司 氏

【大賞】
大和ハウス工業株式会社(サプライヤーエンゲージメント特別部門)

サプライチェーンのカーボン・ニュートラル達成に向けて
~サプライチェーンにおける CO₂の“チャレンジ・ゼロ”~

大和ハウス工業株式会社 本社技術統括本部 上席執行役員 河野 宏 氏

大和ハウスグループは、環境長期ビジョン Challenge ZERO 2055を掲げ、特に気候変動の適応と緩和に関しては重要な経営課題として取り上げ2050年までにサプライチェーンにおけるカーボン・ニュートラルの実現を目指している。さらに当社グループとしては省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用による事業活動の脱炭素化や環境配慮型の建物といった商品の提供を通じた脱炭素にも取り組んできている。しかし当社グループで温室効果ガス排出量の調達段階によるものが約2割を占めている。サプライチェーン全体でカーボン・ニュートラルを実現するには調達先の皆様による協同が不可欠となっている。そこで2025 年までに主要サプライヤーの90%以上とパリ協定に沿ったSBTレベルの温室効果ガス削減目標を達成できるよう直接対応やワーキンググループの設置を進めてきた。その結果として2021年度には2021 年度には88%の削減目標を掲げていただき、SBTレベルの目標設定率は、2019年度の18%から2021 年度には34%まで向上した。今後は我々の省エネソリューションを活用いただくことで、さらに活動を推進していきたいと考えている。今後も当社グループは「やれることはすべてやる」という強い覚悟をもってサプライヤーの方々と協同し、脱炭素の取り組みを推進していきたい。

大和ハウス工業株式会社 本社技術統括本部 上席執行役員 河野 宏 氏